2017年11月6日月曜日

SUBARUの18年3月期、純利益27%減に下方修正

 快走を続けてきたSUBARU(スバル)の業績が「内憂外患」に見舞われている。6日、2018年3月期の連結純利益が、前期比27%減の2070億円になりそうだと発表した。従来予想(19%減の2285億円)よりも悪化する。10月下旬に公表した国内工場での無資格検査の問題の費用が膨らむ。主力の米国での新車販売の減速も響く。強みとしてきたブランド力が揺らいでいる。

 売上高は2%増の3兆3800億円、営業利益は7%減の3800億円に下方修正した。従来予想をそれぞれ400億円、300億円下回る。午後1時の発表後、スバル株は一時、前週末比4%安まで売られた。

 下方修正の要因は主に2つ。まずは無資格検査の問題の影響だ。スバルは無資格検査に伴い、約25万台の車両でリコール(回収・無償修理)を国土交通省に近く届け出る予定。当初は50億円強の関連費用を見込んでいたが「お客に十分対応したい」(吉永泰之社長)として、2倍の100億円に積み増した。

 稼ぎ頭の米国の新車販売の減速も痛手だ。通期の米国販売台数は横ばいの66万8000台とし、前回計画から約2万台引き下げた。好採算の多目的スポーツ車(SUV)がモデル末期に入り、販売が鈍化する。販売競争の激化による販売奨励金の増加も重荷だ。

 SUBARUは自動ブレーキなど安全運転支援システムの採用などで、競争力を高めてきた。17年3月期は円高の影響で減益だったが、米国では他の日系自動車大手の販売が苦戦する中、販売を順調に伸ばしてきた。こうして磨いてきたブランド力が無資格検査の問題で大きく傷ついた。

 米国では新たな課題も見えてきた。スバルの販売網は10月末で631店。店舗をあまり増やさず、ブランド力をテコに店舗当たりの販売台数を伸ばす戦略だ。17年は店舗当たりの販売台数が初めて1000台を超える見通しだが、現状の戦略では「限界が近づいている」(外資系証券アナリスト)との指摘もある。

 トヨタ自動車は1店舗当たり1900台超を売るが、スバルに比べて品ぞろえは3倍近い。持続的な成長には、販売店網の拡大や品ぞろえの充実も求められそうだ。

 吉永社長は近年の急成長について、「実力が追い付いていない」と懸念も口にしていた。無資格検査と米国減速という2つの課題に直面し、どうブランドを建て直すかが問われている。

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