2017年11月2日木曜日

ソニーの新アイボ、飼い主喜ぶ動き習得 AI活用

 ソニーは1日、犬型の家庭用ロボットを2018年1月に発売すると発表した。06年に生産を中止した「AIBO」の後継機となる。ネットワークに常時接続して家庭での動作情報をクラウドで集約し、徐々に持ち主が好む動きをするようになる。最高益と株高に象徴的な製品の発表が重なったソニー。復活を内外に印象づける役割も犬型ロボットに期待する。

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 名称は小文字で「aibo(アイボ)」。丸みを帯びたデザインで多数の電子部品とロボット技術を駆使し、しなやかな身のこなしを目指した。1日夜に始めた予約販売分は完売した。

 お手の求めに応えたり、腰を振ったり首をかしげたり。「ワン、ワン」「クーン、クーン」と鳴きもする。「愛情の対象となるロボットにする」。発表会で平井一夫社長は相好を崩した。

 独自開発したアクチュエーターと呼ぶ部品を首や口、しっぽや膝などに配置した。振動するように駆動して犬のような動きを再現する。周囲の状況を把握するカメラやセンサーも備え、全身が電子部品の固まりだ。電池の残量が減ると自らチャージスタンドに向かう。

 かつてのAIBOと異なるのはクラウド技術も使って消費者とともに身のこなしを変えていくことだ。腰や首、手足を動かしたときに飼い主は喜ぶか。多数のカメラからこうした情報を収集し、人工知能(AI)を使ってどういう動きが好まれるのかを分析する。

 人に好かれるのに必要な動きを最大公約数のように結論づけて個体に情報として配信する。これを受け望ましい動きを徐々に増やす。機器本体もAIを搭載して個体の特徴も維持し飼い主による好みの違いに対応する。

 愛玩犬としてだけでない役割はアプリが担う。設計や仕様の公開を検討しており他社がアプリを開発できるようにする。子どもの見守りや高齢者の認知症対策など多様な使い方を見込み、ソニーは今後、参加社を募る。

 価格は本体が税別19万8000円。先代AIBOより2割安くした。通信でネットワークと結び、クラウドも利用するため、3年間9万円か月額2980円の36カ月契約が必須となる。

 ソニーは消費者とつながり、収益を確保するリカーリングと呼ぶビジネスにかねて注力する。ネット経由のソフトで稼ぐ家庭用ゲーム機「プレイステーション」と同様に安定収益を確保できるかがビジネスとしてのaiboの成否のカギだ。ただリカーリングは消費者のトータルの負担が大きい。十分な理解を得られる機能の更新や新アプリの追加が求められる。

 今期のソニーは20年ぶりに営業最高益を更新する見通し。1日は前日の業績見通し発表を受けて株価も跳ね上がった。収益性や成長性に乏しいとして06年に生産を中止したAIBOは、当時のソニー衰退の象徴でもあった。犬型ロボの再投入は創造性の高いソニー像を取り戻しつつあると印象づける狙いもこめる。

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