2017年11月19日日曜日

東芝が増資で上場維持、成長戦略などで課題

 東芝が6000億円の増資を決めた。これにより手続き中の半導体メモリー事業売却の時期が遅れても、2018年3月期末の債務超過を解消できるようになる。株式市場の最大の懸案だった上場廃止を回避でき、再建計画に弾みが付く。ただ来期以降、主軸に据える社会インフラ事業などは収益力が低い。安定した成長戦略を示せるかどうかが今後の焦点になる。

 メモリーを除く「新生東芝」の実力には投資家の不安が絶えない。10月に発表した17年4~9月期の連結営業利益は2317億円と過去最高を更新したものの、うち9割を売却予定のメモリー事業が稼いでいたからだ。

 一方、残る事業の収益性は弱い。4~9月期はPOS(販売時点情報管理)など小売事業が増益となったが、今後の収益源に据える「インフラ」、「エネルギー」、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」関連の3事業はそろって利益が減った。

 メモリーを除いた上期の連結売上高は約1兆8244億円(現在は2兆3862億円)、営業利益は268億円(同2317億円)に急減し、連結全体の売上高営業利益率も10%弱から1%台に落ち込む。メモリーを売却した後の19年3月期は売上高で4兆円程度、営業利益で数百億円規模の会社になるとみられ、これまでのような高い収益は見込めなくなる。

 残る事業の収益力を高めるため、東芝は今期の構造改革費用を600億円(従来計画は420億円)に積み増し、赤字事業の撤退や拠点見直しなどの対策を強める方針だ。海外株主からは「メモリー売却後の成長戦略を明確に示すことが現経営陣の責務」との声が上がっており、来春に策定・発表するとみられる新経営計画の中身が注目される。

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