2017年11月17日金曜日

日産、「規範意識の低さ」「完成検査員の不足」など背景 調査報告書

 日産自動車は17日、無資格の従業員が完成検査をしていた問題で、一連の問題の原因分析や再発防止をまとめた報告書を国土交通省に提出した。報告書では原因について、完成検査員の不足、規範意識の低さ、本社及び管理層の意識の低さなど7項目を明示した。再発防止策では完成検査員の教育体制の見直し、現場と管理層の距離を縮めるための施策など10項目を挙げた。

 同日、横浜市内の本社で記者会見した西川広人社長は「皆様から信頼いただいていることを裏切る行為になりました。改めて深くおわびを申し上げたいと思います」と謝罪した。西川社長は対策が不十分となり信頼回復に時間がかかっているとの認識を示した。

 責任問題に関連して、西川社長が10月の月額報酬の一部から自主返上を始めたほか、ほかの経営会議メンバーも自主返上する方向であることを明らかにした。

 報告書は一連の問題について、オートワークス京都(京都府宇治市)を除く車両5工場で行われており、多くの工場では1990年代にはすでに常態化していたとみられ、栃木工場(栃木県上三川町)では79年から実施されていた可能性があると結論づけた。

 原因分析では車両工場の運営に必要な人員は配置されていたものの、「完成検査員の特殊性を踏まえた人員配置が検討されていなかった結果、人員に余裕がないもしくは不足する状態を招いた」としたほか、「国に変わって実施する完成検査の重大性を十分に認識しておらず、規範意識は著しく鈍麻していた」と指摘した。ただ過去に何がきっかけで常態化したのかについては「調査の結果からは判断できず、推測も難しい」と判断した。

 完成検査を実施する現場と車両工場および本社の管理層との間に距離があり、管理層が問題を把握し対処することを困難なものにしたと指摘。再発防止策では、「現場と管理層の距離を縮めるための施策」を盛り込んだ。

 具体的には2018年末までに工場別生産計画台数や配置転換を含む工場の人員調整などに係長層を参画させる体制を整える。再発防止策が実施されているかどうかを確認するため、完成検査に関わる法令順守状況を最高経営責任者(CEO)が議長を務める内部統制委員会へ定期報告する。

 完成検査員以外の人が完成検査に関わらないようにするために、顔認証による入出場管理を導入する対策なども明示した。検査員認定の試験でも試験問題と答案が一緒に配布されるといった運用面での不正があったことなどから、再教育を含めた教育体制も見直す。17年度中に新たに完成検査員約100人を育成し、増員する計画も示した。

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