2018年7月31日火曜日

債券は下落か、日銀の政策調整観測で売り圧力-指し値オペ支え

債券相場は上昇。日本銀行がこの日の金融政策決定会合で、強力な金融緩和継続のための枠組み強化を打ち出したことを受けて、大規模緩和策の長期化観測を背景に利回り曲線のフラット(平たん)化が進んだ。一方、黒田東彦総裁の会見での発言を受けて長期金利が低下幅を縮める場面があった。

  31日の現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の351回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値より1ベーシスポイント(bp)低い0.09%で取引を開始。午後に日銀の政策決定内容が伝わると、徐々に買い圧力が強まり、一時は0.045%と、20日以来の水準まで低下した。

  超長期債も軒並み買われ、新発20年物の165回債利回りは一時7.5bp低い0.525%、新発30年物59回債利回りは8.5bp低い0.745%、新発40年物の11回債利回りは10bp低い0.865%を付けた。

  岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、日銀の政策決定について、「当分の間はイールドカーブコントロールを変えないことを宣言したということ。今までと変わらず粘り強く緩和策を続ける姿勢がさらに強く示されて、市場は従来通り長期金利が0.1%を上回ることはないと判断した」と指摘。「大枠として緩和姿勢が強化されたことが好感されて、買い戻される展開になっている」と言う。  

  長期国債先物市場で中心限月9月物は前日比9銭安の150円35銭で取引を開始。日銀の政策発表後に一時150円24銭と、日中取引ベースで2月5日以来の水準まで下落したが、徐々に買い戻され、150円80銭まで急上昇。結局は25銭高の150円69銭で引けた。

  日銀は31日の金融政策決定会合で、長短金利水準を据え置いた上で、長期金利目標について「経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動しうる」ことを賛成多数で決定した。

日銀決定会合の詳細はこちらをご覧下さい。

  岡三証の鈴木氏は、声明文で長期金利目標に関して経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動しうるとの文言が加わったことについて、「市場は今のところ納得しているようだが、多少の変動という部分は誤解を招く可能性もあり、判断は分かれるところだ」と指摘。「上限に関しては0.15%かもしれないし0.20%でもいいのではないかという話になりやすい面もある」と話した。

  黒田日銀総裁は午後の定例会見で、長期金利の変動幅について、「現在のプラスマイナス0.1%の倍程度を念頭に入れている」と述べた。声明文に書かれていない発言を受けて債券市場では一時的に売りが優勢となり、長期金利は0.045%から低下幅を縮め、0.06%に戻した。 

新発国債利回り(午後4時時点)

前日比
2年債-0.115%+0.5bp
5年債-0.090% 横ばい
10年債 0.060%-4.0bp
20年債 0.530%-7.0bp
30年債 0.745%-8.5bp
40年債 0.865%-10.0bp

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Read Again https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-07-30/PCPB236JIJUW01

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