NECとダイキン工業は、知的生産性を高める空気・空間を実現するための共同研究において、オフィスなどの執務空間での知的生産性向上には空調による温度刺激が特に効果的であることを実証し、さらに眠気の兆しが見えた早期の段階で刺激を与えることが、覚醒度を保つのに効果的であることを明らかにした。
この実証実験では、覚醒度を適切に保つにはどのような方法・タイミングの刺激が良いかを確かめることを目的とし、被験者の覚醒度を定期的に測りながら、空調(温度)、照明(照度)、アロマ(芳香)それぞれの刺激を与え、覚醒度の変化を検証した。
検証方法としては、環境条件を所定のタイミングで変化させた際の、被験者の覚醒度変化を確認した。被験者には、4つの異なる条件(温度、芳香、照度)のなかで眠くなりやすいタスク(2桁の加算暗算)を与え、5分毎に眠気を5段階で申告してもらうとともに、カメラにより眠気を推定した。
その結果、空調による温度刺激では、環境変化を与えない場合と比較して平均の覚醒度が5段階中、最大で約2段階分上昇し、さらに45分以上眠気を抑制し続けることがわかった。また、照明やアロマによる刺激では、環境変化を与えない場合と比較して覚醒度が最大0.5段階分上昇することを確認したという。
さらに、既に眠い状態になってからではなく、眠気の兆しを検出した時に刺激を与えることで覚醒効果が大きくなり、その効果は温度・照度・芳香刺激など、刺激の与え方や組み合わせで高められることが判明した。
この検証をもとに、まぶたの開度から眠気の兆しを検知して、空調・照明を組み合わせた刺激を与えるプロトタイプの制御システムを構築し、今月より両社の検証用オフィスにて、執務中の覚醒度データを取得して空調・照明の環境制御を行うフィールド実験を開始している。
なお、この成果は、9月4日〜6日に東北大学にて開催される「2018年度日本建築学会大会」において、両社共同で発表される。また、NECは、7月17日〜21日に米国ホノルルにて開催された医工学分野のフラグシップ国際会議「IEEE The 40th International Engineering in Medicine and Biology Conference」において、覚醒度推定技術に関しての発表を行った。
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