2018年7月22日日曜日

ドル高も議題か 米が中国通貨政策に矛先

 【ブエノスアイレス清水憲司】日米欧に中国などを加えた主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が21日、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで開幕した。トランプ米大統領が仕掛ける貿易戦争や新興国の経済情勢が主要議題になるが、米国が問題視するドル高を議題として持ち出す可能性が出てきた。

 ムニューシン米財務長官は開幕前日の20日、ロイター通信のインタビューで「通貨安によって中国が不公正な利益を得るのは間違いない」と述べ、人民元の下落が進む中国が「為替操作国」に当たるかどうか本格審査する方針を表明した。これに先立ちトランプ氏は「中国と欧州連合(EU)などは為替を操作している」とツイッターに投稿。通商政策での敵対的な姿勢が、通貨・金融政策にも及びつつある。

 G20ではこれまでもトランプ氏の保護主義政策に対し、日本を含む各国が反発。米国は今回、G20会議に併せて開かれる日米欧の主要7カ国(G7)会議を通じ、中国の不公正貿易への対抗で再結束を目指す方針で、G20でも批判の矛先を中国に向けることを狙うとみられる。しかし、米国が「ドル高是正」のために他国の通貨・金融政策に介入する姿勢を示せば、G20・G7の足並みが一段と乱れるのは必至だ。貿易戦争の緩和に向けて協議するどころではなくなる恐れがある。

 米メディアによると、ドイツのショルツ財務相は21日、「EUは合理的な政策運営をしており、通貨を通じて人為的に経済的成功を図るものではない」とトランプ氏に反論した。

 日本からは麻生太郎財務相と日銀の黒田東彦総裁が出席。 黒田総裁は21日、開幕に先立ち、「保護主義は世界経済にマイナスの影響を与える恐れがある。保護主義的な措置を互いに取っていけば、どちら側にもメリットがない」と述べ、貿易摩擦の緩和に向けた協議に期待を示した。

Let's block ads! (Why?)

Read Again https://mainichi.jp/articles/20180722/ddm/002/020/064000c

0 件のコメント:

コメントを投稿