2018年9月29日土曜日

関空に土のう・内定式は延期 台風24号、各地で警戒

 台風21号の傷痕が残る西日本をふたたび、強い台風24号が襲いそうだ。台風21号で機能が一時停止した関西空港や、大規模停電が起きた関西電力などは厳戒態勢を敷く。

 関西空港を運営する関西エアポートは28日、台風の進路次第では、最接近の7時間前をめどに滑走路を閉鎖する方針を明らかにした。台風21号では連絡橋の損壊もあって利用客ら約8千人が1日以上島内に孤立した。異例の早期閉鎖で混乱を避けたいとしている。

 台風21号では高波が護岸を越え、第1ターミナルの地下施設が浸水した。今回、台風最接近の7時間前までに大型土囊(どのう)を置いて地下施設の浸水を防ぐ。貨物を運ぶ車両なども往来できなくなるため、その時点で滑走路を閉鎖するという。

 28日も備えを急ピッチで進めた。1期島南側の護岸付近や国際貨物地区の上屋周辺に大型土囊を積んだほか、ターミナル地下の電気室の止水板も増強した。

 外国人観光客への情報提供のため、韓国語や中国語ができるスタッフ計16人を待機させ、多言語発信できる拡声機も6台増やして8台にした。公式ウェブサイトやツイッターでは英、中国、韓国など5カ国語で情報を随時発信する予定だ。

 関電は28日会見し、強風による飛来物が電線や電柱に当たって停電の原因になるとして、飛散防止の対策を呼びかけた。台風21号による復旧現場で養生シートが目立つとして、固定するなどの対応を求めている。

 台風21号の際は約225万8千戸が停電した。壊れた電柱のうち仮復旧の約300本の建て替えを急ぎ、30日は約1万2千人態勢で備える。また、ホームページ上で停電状況を伝える情報提供システムが台風21号の際は情報が集中してダウンしたため、処理能力を増強したという。

 大阪市では、台風21号で公園などで8400本以上の木が倒れたり折れたりした。市の委託業者による回収作業は30日までに終えられないため、公園に近づかないよう呼びかけている。

前日の移動を呼びかけ

 台風24号の接近に伴い、九州の企業では28日、週明け10月1日に予定していた内定式を中止したり、延期したりする動きが相次いだ。

 九州電力(福岡市)は式の中止を決めた。内定者約130人が出席予定だったが「遠方にいて前日から移動する学生も多い」(広報担当者)として、安全の確保を最優先にする。西日本鉄道(福岡市)は福岡と東京の2会場のうち、東京での開催を10月4日にずらした。航空会社のスターフライヤー(北九州市)は11月19日に延期する。TOTO(同)はもう1日様子を見て29日に決めるという。

 予定通り1日に実施する安川電機(同)は、遠方の内定者に対して、29日のうちに会社近くに移動しておくよう呼びかけている。交通費や宿泊費は会社が負担するという。

京都の文化財も早めの対策

 台風21号の暴風で建物などの文化財の被害が相次いだ京都市内の寺社は台風24号の接近に備え、早めの対策を取り始めた。市は28日、世界遺産・二条城(京都市中京区)について、30日を休みとすることを決めた。国立京都国際会館(左京区)では30日に文化庁の創立50周年記念式典が開かれる予定だったが、中止を決めた。

 また、台風21号で国宝の金堂が損傷した世界遺産の仁和寺(右京区)や東寺(南区)でも、30日の拝観中止を検討中だ。東寺の担当者は「台風21号で建物の瓦が飛んだが、その修復は進んでいない。同じような被害が出ないかと心配です」と話す。仁和寺は29日、ふすまが飛ばされないようにくさびを打つ方針で、国宝の三門の扉が壊れた知恩院(東山区)も同日、建物の廊下にブルーシートをかけ、境内の立て看板を撤去する予定だ。

日本気象協会が呼びかけている台風への備え

《接近する前に》

・強風で飛ばされる可能性があるものは、室内にしまうか、しっかりと固定する

・窓ガラスが割れた時のため、カーテンは閉めておく

・家電などは浸水の被害を受けないよう、高い所に移動させる

・断水に備えて浴槽に水を張るなどして生活用水を確保

・避難のための非常持ち出し品を準備する

《接近してから》

・用水路や海岸の見回り、屋外での作業は絶対にやめる

・特に夜間は暗いので外出を控える。車は大雨でワイパーやブレーキが利かなくなる可能性がある

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