裁量労働制を適用された社員が相次いで労災認定されていた大手電機メーカー、三菱電機の本社(東京)が、裁量労働制を廃止する3カ月前に厚生労働省の立ち入り調査を受けていたことがわかった。これは、違法な長時間労働や過労死が複数発生した企業の社名を公表する仕組みの中で、企業名を公表する一歩手前の段階の調査だった。
いまの企業名公表制度は2017年1月に始まった。違法残業や過労死などが2件あった後、厚労省が全社的に立ち入り調査を実施し、労務管理の改善状況を確認。その後、再び問題が起きた場合は企業名を公表する仕組みだ。
関係者によると、三菱電機では昨年9月、エアコンや冷蔵庫などを手がける静岡製作所(静岡市)が、10人以上の社員に月80時間を超える違法残業をさせたとして、静岡労働基準監督署(同)から是正勧告を受けた。さらに、通信システムなどの開発を手がけるコミュニケーション・ネットワーク製作所(兵庫県尼崎市)で裁量労働制を適用されていた男性社員が16年2月に自殺。尼崎労働基準監督署(同)が昨年6月、過労自殺と認定し、その後に同製作所を指導していた。
厚労省は昨年12月、この2件の違反を受けて東京・丸の内の本社を立ち入り調査した。同社が社員約1万人に適用していた裁量労働制を全廃したのは今年3月。この調査の3カ月後だった。同社は裁量労働制を全廃した理由を「労働時間をより厳格に把握するため」と説明した。一方で、朝日新聞の取材に対し、厚労省や労基署の調査を受けたことを認めている。企業名公表のリスクに直面し、労務管理を強化する必要性を意識した可能性が高い。
かつては違法残業や過労死があ…
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