2018年9月27日木曜日

屋号変更 「そごう」の名惜しむ声と阪急ブランドに期待の声

一部で営業を再開したが、建物の一角で解体が進む(1995年4月16日撮影)

一部で営業を再開したが、建物の一角で解体が進む(1995年4月16日撮影)

阪神・淡路大震災で損壊し、1年3カ月ぶりに全面再開したそごう神戸店前に長い列をつくる買い物客(1996年4月28日撮影)

阪神・淡路大震災で損壊し、1年3カ月ぶりに全面再開したそごう神戸店前に長い列をつくる買い物客(1996年4月28日撮影)

 エイチ・ツー・オー(H2O)リテイリングが百貨店「そごう神戸店」(神戸市中央区)の屋号を「神戸阪急」に変えると発表した27日、地元の消費者からは、神戸・三宮の駅前一等地から「そごう」の名が消えることを惜しむ声が聞かれた。一方、行政や経済関係者は、阪急のブランド力を生かした神戸の街の魅力アップに期待した。

 そごうは1899(明治32)年に神戸駅近くに進出し、1933(昭和8)年に三宮へ移った。港町神戸のシンボルとして買い物客を集め、38(同13)年の阪神大水害や95年の阪神・淡路大震災を乗り越えて営業を続けてきた。

 神戸市中央区の女性会社員(73)は「長年、食料品や洋服を買いに来るのが楽しみだった。屋号変更はさみしい」と話す。56年から約7年間、同店に事務職員として勤めたという西宮市の主婦(80)は「(当時)神戸らしいクラシックな外観がお気に入りだった。名前を残してほしかった」と残念がる。

 近年は「地域1番店」の座を大丸神戸店に譲った。神戸市北区の会社員女性(60)は「阪急になって店内の雰囲気や包装がどう新しくなるか楽しみ」と注目する。淡路市の主婦(84)は「今後も高速バスで買い物に来たい。より良い店になってほしい」と話した。

 そごう神戸店はかつて三宮センター街、地下街さんちかと共同イベントを開くなどし、「三宮トリオ」と称された。商業者団体「KOBE三宮・ひと街創り協議会」の久利計一会長(71)は「力を合わせ、集客に大きな役割を果たしてくれた。屋号が変わっても、街への愛情を引き継いでもらえるはずだ」。同店に71年からテナント出店する子ども服のファミリア(神戸市中央区)の担当者は「ファッション感度が高い阪急の顧客層を呼び込める」と声を弾ませた。

 神戸・三宮では、阪急阪神ホールディングス(HD)が駅直結の高層ビルを建築中で、阪急神戸線と神戸市営地下鉄西神・山手線の相互乗り入れも検討している。神戸商工会議所の幹部職員は「阪急のブランド力がこれまで以上に神戸の発展に生かされるとすれば歓迎だ」と強調。公共施設を含めた三宮の再整備を推進する神戸市の幹部は「地域活性化の起爆剤となるような店づくりに期待している」と話した。(内田尚典、長尾亮太、中務庸子、綱嶋葉名)

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