2018年9月27日木曜日

DSDSな香港版「iPhone XS Max」を入手 こんなワクワクは久々だ(石川温)


9月21日に発売となったiPhone XSiPhone XS Max

アップルがデザインしたというA12 BionicやISPなどの組み合わせにより、暗部と明部がクッキリと撮影できるなど、カメラ性能が大幅に向上したのは、あちこちで公開されているレビューを見ればよく分かる。

しかし、個人的に気になっているのが、iPhoneでは初となるDSDSだ。しかし、日本で発売しているものはeSIMとプラスティックカードSIMカードとの組み合わせであり、現状では試すことができない。

いま、唯一、iPhoneのDSDSを試せるのは、香港や中国で売られているiPhone XS Maxのみとなる。ならば、買いに行こうではないか。

しかし、21日は日本でiPhone発売日の取材、22日はメルマガの執筆日、23日からはEngadget日本版・矢崎編集長とともにNetflix取材のためにシリコンバレーへと海外出張に行かなければならない。現地2泊の弾丸取材を終え、日本に帰国したのは26日16時、成田空港着。矢崎編集長に別れを告げ、19時から都内で会食を済ませた後、向かったのは羽田空港。24:55発、全日空821日便に搭乗し、27日午前4時に香港国際空港に到着した。

滞在時間わずか11時間、iPhoneは入手できるか

香港にやってきたものの、仕事や家庭の都合もあって、その日のうちに帰らなければならない。滞在時間はわずか11時間。この限られた時間内にiPhone XS Maxを確実にゲットしなくてはいけない。

発売直後のiPhoneは、お店に行ってすぐに買えるというものではなく、予めネットでの予約が必要だ。アップルでは、iPhoneの発売直後は、毎朝8時にウェブ上で予約を取る仕組みをとっている。予約が取れれば、その分をお店で受け取れるというわけだ。

ただ、予約をするには香港の電話番号でSMSを受信する必要がある。そこで香港国際空港でSIMカードをゲットし、6時オープンの飲茶店で朝食を済ませ、7時半からスタバに陣取り、8時を待つことにした。

8時。早速、アップルの香港サイトにアクセス。8時1分ごろから予約を受け付けられるようになったので、注文をしていく。準備どおり、香港の電話番号から、指定の電話番号にSMSを飛ばすとコードが返ってくるので、それを打ち込む。

パスポート情報も必要だったりと、予約を完了するまでかなり面倒くさい。

受け取り時間を指定し、予約完了させるとQRコードが発行されるので、画面キャプチャーしておく。また、パスブックに入れておくことも可能だ。

指定時間の10時になり、アップルifcモール店を訪問。パスポート番号を確認した後、悲願のiPhone XS Max 256GB ゴールド 香港版を入手することができた。ここまで、日本を飛び立って9時間だ。

念願のDSDS対応iPhone XS Maxをセットアップ

またまたスタバに戻り、購入したばかりのiPhone XS Maxを開封してセットアップしていく。

確かにSIMカードスロットは裏表となっており、ここに2枚のSIMカードを挿入できる。裏面はバネ付きで、ひっくり返しても落ちない構造だ。DSDS対応のAndroidスマホでは見たことない設計のような気がする。表にはauのSIMカード、裏には今朝、買ったばかりのCSLのSIMカードを挿入した。

iPhone XSを起動し、設定の「モバイル通信」を見てみると「主回線」と「副回線」という項目がある。この2枚のSIMカードを使い分ける設定として、「主回線をデフォルト回線として使用」「副回線をデフォルト回線として使用」「副回線をモバイルデータ通信にのみ使用」を選ぶことができる。海外渡航時はもちろん「副回線をモバイルデータ通信にのみ使用」を選ぶ。

残念ながらというか当然のことながら、香港版のiPhone XS Maxには技適マークはついていない。技適マークがあれば、主回線にauでピタットプランで契約したSIMカードを挿入し、支払額を抑えつつ、副回線にソフトバンクのウルトラギガモンスター+を入れて、データ通信をガンガン使いたいのだが、そうはいかない。

海外渡航時に1台で収まるのはありがたい限り

主に海外取材用にアメリカであれば「auピタットプランとソフトバンク・アメリカ放題」、国によっては「auピタットプランと、プラン設定が豊富になったNTTドコモ・パケットパック海外オプション」という組み合わせが便利そう。もし、パケットパック海外オプションのキャンペーン対象外の国であれば、現地のSIMカードというのがいいだろう。

これまで、海外渡航時は、複数のiPhoneを持ち歩くということをしていたので、DSDS対応になったことで、1台でスッキリ収まるのはありがたい限りだ。

日本で「キャリアのSIMカードと格安スマホのSIMカード」という組み合わせで使いたくなるが、実は、格安スマホのプロファイルを入れてしまうと両方のSIMカードに対して影響をおよぼすために、使い勝手が悪いようだ。2つのSIMカードはプロファイルをインストールする必要のないキャリアを選んだほうが良さそうだ。

もう一つの「保険」をかけていた

無事にアップルのお店でiPhone XS Maxを入手できたが、実はもうひとつ「保険」をかけていた。もし、早朝、香港に到着し、8時のオンライン予約にアクセスしたとしても「在庫なし」では、何も買えずに日本にとんぼ返りすることになる。さすがにそんなリスクは犯せない。

ということで、iPhone XS Maxの発売直前だった9月18日に、オンラインでの注文というかたちで、香港の住所に送ってもらう手続きをしておいたのだった。香港といえば、Engadgetでもおなじみの山根博士がいるが、あいにく、9月後半は日本や中国を転々としているために不在。山根博士に相談したところ「田路さんのオフィスに届けてもらうようにするといいよ」との回答があった。田路さん( @mongkok93​​​​​​)のオフィスは、EngadgetでiPhone XS MaxのDSDSを速報的に紹介する記事ですでに登場済み。

というわけで、アップルのお店から田路さんのオフィスに向かうことにした。

約束していたのは11時30分で、ピッタリの時間にオフィスを訪問したがが、発注してあったiPhone XS Maxが配達されていない。

宅配業者のサイトによれば、26日に深センを旅立ち、早朝に香港入りしているはずなのだが、その後の音沙汰がなくなっている。

帰りの飛行機は15:20発。12時半には、ここを出なくてはいけない。

焦ってはいたが、すでにiPhone XS Maxを購入済みの田路さんと談笑していた11:51、配達員が現れた。結局、自分でサインをして、受け取ることができた。

本当は初対面の田路さんとランチをするはずであったが、もはやタイムアップということで、12:35、田路さんに見送られながら、空港行きのバスに乗り、いま、搭乗直前でこの原稿を書いている。

久々にワクワクさせられるモバイルデバイス

田路さんと話していて印象的だったのが「昔、PCやモバイルデバイスは香港にいれば、最新や珍しいものが手に入ったが、いまでは日本でも同じものが手に入るようになってしまった。しかし、2枚のSIMカードが入るiPhone XS Maxは久々に香港でしか入手できない貴重なデバイスなのが魅力だ」というセリフ。

香港版iPhone XS Maxは、久々にワクワクさせられるモバイルデバイスと言えそうだ。

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