2018年9月25日火曜日

「ICOCAポイント」はお得? 「昼間特割きっぷ」に代わるサービスも その特徴とは

JR西日本が「ICOCA」利用者向けにポイントサービスを開始。あわせて「PiTaPa」でのポストペイサービスも導入します。これまで高い割引率で好評だった「昼間特割きっぷ」に代わるサービスもあり、注を集めています。

付与されるポイントは3種類

JR西日本が、交通系ICカードICOCA」の利用者に向けた新たなサービスICOCAポイントサービス」を、2018年10月1日)に開始します。

このサービスは、ICOCAを使って列車に乗したり、買い物をしたりすることでポイントが貯まるというものです。具体的には次の3種類が用意されます。

(1)毎1日から末日までのあいだに、同じ運賃区間を11回以上利用すると、11回以降の1回ごとに運賃の10分のポイントが貯まる「利用回数ポイント」。
(2)毎1日から末日までのあいだに、特定の時間帯(平日10時17時に入場または出場、ないし土休日)・区間を4回以上利用すると、4回以降の1回ごとに運賃の30または50分のポイントが貯まる「時間帯ポイント」。
(3)一部のICOCA加盟店で、買い物や食事、サービスの支払いにICOCAを使うと、その利用額に応じて貯まる「電子マネーポイント」。

この中で、注を集めているのが(2)の「時間帯ポイント」。というのも、4回以降からもらえるポイントがかなりの高率になっているのです。例えば、大阪三ノ宮間(大人運賃410円)を5回利用した場合は、4回以降の2回について、50である205ポイント(2回分なので計410ポイント)が貯まります。この区間を毎週1往復する人なら、1か(4往復)あたり1025ポイント。1ポイント1円として使えるので、これだけで大阪三ノ宮間を1往復してお釣りが来るだけのポイントゲットできる計算になります。

的にもしい、かなり“大盤振る舞い”のこのポイントサービスは、実はJR西日本がこれまで販売していた、あるきっぷの止と密接に関わっているのです。

私鉄との競争で生まれた「昼間特割きっぷ」

JR西日本メインエリアである京阪神地区は、古くから“私鉄”といわれてきました。国鉄特急つばめ」を追い抜いたという伝説をもつ阪急電鉄や、内にテレビを設置した京阪電鉄など、各私鉄スピードや座席、サービスなどで国鉄駕(りょうが)。加えて国鉄昭和50年代ごろから相次ぐ値上げを行ったため、運賃だけを見ても大きな差がついてしまいました。

そこで、国鉄1980年前後にふたつの大きな対抗策を講じます。ひとつは、内設備を大幅にグレードアップさせた新快速車両117系の導入。そしてもうひとつが「昼間特割きっぷ」と呼ばれる格安回数乗車券の発売です。

この「昼間特割きっぷ」は、利用できる時間帯は平日間と土休日限定、販売区間は京都大阪三ノ宮宝塚などの各から、私鉄と競合する区間を中心に設定されていました。つまり、最初から私鉄に対抗するために企画されたきっぷと言えます。

それまで国鉄で販売されていた一般的な回数乗車券は、10回分の料で11回乗できる(約10割引)というものですが、「昼間特割きっぷ」はこれよりはるかに割引率が高く、2040ほどの設定。これを使えば、私鉄並みの運賃で国鉄に乗れることから、利用者のあいだでく間に大好評となりました。

もちろん、私鉄側も黙って見ているだけではありません。各私鉄でも、時差回数券(オフピークチケット)や土休日回数券など、同様のきっぷを発売して対抗。さらに、これまで特急が通過していたにも停させるなど、サービス向上にも努めました。JR私鉄の競争は、いまも続いています。

「ICOCAポイントサービス」で使い勝手は向上

昼間特割きっぷ」は、2015年には、それまでの12枚セットから6枚セットに変更されるとともに、価格や設定区間を見直すなどの定が行われたものの、販売は継続されていました。ところが、2017年9月に「昼間特割きっぷ」を2018年9月止することがアナウンスされ、同時にICOCA利用者へのポイントサービスを導入すると発表されました。つまり、今回始まる「時間帯ポイント」は、この「昼間特割きっぷ」の代替サービスということになります。

これまで「昼間特割きっぷ」を使っていた人たちにとっては、「時間帯ポイント」は割引率が低くなる場合があり、お得感は少ないものの、事前にきっぷを購入する必要がなくなります。さらに、乗回数によって自動的に割引されるため、何種類もの回数券を持ち歩く必要もなくなり、使い勝手は格段に向上することでしょう。関西では、昼間特割きっぷを1枚単位でばら売りしている金券ショップ自動販売機が多くありますが、その今後にも影が生じそうです。

これに加えて、JR西日本では2018年10月から交通系ICカードPiTaPa」によるポストペイサービスも開始します。関西私鉄事業者を中心に展開している「PiTaPa」は、1かの乗をまとめてクレジットカードで後払いするポストペイ方式を採用していますが、これまでJR西日本など他の交通系ICカードエリアではポストペイ方式での支払いはできず、他のICカードと同様にあらかじめチャージする必要がありました。JR西日本ポストペイサービスを導入することで、JR西日本ICカードサービスエリアではチャージ額がなくても、関西私鉄と同様に乗することができるようになります。

さらに、JR西日本で「PiTaPa」のポストペイサービスを利用した際には、先に紹介した「ICOCAポイントサービス」と同等のポイントが、1ポイント1円として支払い時に割引されることになります。

2003(平成15)年にICOCAが登場してから今年でちょうど15年。新たなサービス今後に期待したいところです。

【写真】「ICOCAポイント」開始を告知する駅ポスター

JR西日本が発行する交通系ICカード「ICOCA」。描かれているキャラクターは「カモノハシのイコちゃん」(2018年9月、伊原 薫撮影)。

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