2018年9月26日水曜日

伊方原発3号機、運転差し止め取り消し…高裁

 四国電力の伊方原子力発電所3号機(愛媛県伊方町)の運転を差し止めた広島高裁の仮処分決定について、同高裁(三木昌之裁判長)は25日、四電の異議を認め、仮処分を取り消した。昨年12月の決定は阿蘇山(熊本県)の破局的噴火の危険性を理由に差し止めを命じたが、三木裁判長は「原発に火砕流が到達する可能性は相当低い」として安全性を認めた。決定の効力は直ちになくなり、四電は来月27日に3号機を再稼働させる方針。

 仮処分を申し立てた広島、松山両市の住民4人は「最高裁が運転を認めた場合、同種裁判への影響が大きい」として、最高裁への不服申し立てを行わないという。

 仮処分を巡っては、広島地裁が昨年3月に申し立てを却下したが、昨年12月に高裁の即時抗告審決定で差し止めが認められた。四電の異議を受け、抗告審とは異なる裁判官が保全異議審を担当し、この日の決定を出した。

 最大の争点は、約1万年に1回とされ、周辺100キロ程度が火砕流で壊滅状態となる破局的噴火が阿蘇山で起きる可能性だった。

 抗告審を担当した高裁の野々上ののうえ友之裁判長(当時)は、「原則40年とされる運転期間中に阿蘇山の活動可能性は十分小さいとは判断できず、火砕流が約130キロ離れた伊方原発に到達する可能性がないとも言えない」と指摘した。

 三木裁判長も保全異議審の決定で、原子力規制委員会の火山審査マニュアル「火山影響評価ガイド(火山ガイド)」に従えば、破局的噴火が起きた場合に火砕流が到達する可能性もあるとした。ただ、火山ガイドについて「正確に噴火の時期や規模を予測できることを前提としており、不合理だ」とし、破局的噴火のリスクの評価については「噴火が予測できない以上、社会が自然災害の危険をどの程度容認するか、社会通念で判断せざるを得ない」との基準を示した。

 その上で、「破局的噴火の発生頻度は著しく小さく、安全性が欠けることはない」と言及し、「原発の立地は不適とは言えない」と結論付けた。

 また、改めて争点となっていた〈1〉規制委による原発の「新規制基準」〈2〉四電が策定した「基準地震動」(想定される最大規模の地震の揺れ)――は、いずれも合理的と判断した。

 住民側は広島地裁に運転差し止めを求める訴訟も起こしており、抗告審決定は判決で異なる判断が出る可能性を考慮し、差し止め期間を今月末までとしていた。

 3号機は昨年10月から定期検査に入り、今年1月に再稼働する予定だったが、抗告審決定を受け、法的に運転できない状態となっていた。

 3号機の運転差し止めの仮処分は、高松高裁と大分地裁、山口地裁岩国支部でも審理され、大分地裁は28日に決定を出す。

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