安全保障政策の司令塔という役目は、さぞや重荷だったことだろう。稲田朋美防衛相(58)は28日午前の閣議後会見の冒頭、「日報」問題で混乱を招いたとして辞任を表明した。その表情はさばさばしていた。
「単に陸上自衛隊の情報公開への対応が不適切であったのみならず、内部からの情報流出をにおわせる報道が相次ぐことにより、防衛省・自衛隊のガバナンス(統制)についても信頼を損ないかねない印象を与え……」
稲田氏が指摘した「報道」の直近の焦点こそ、稲田氏本人だった。南スーダン国連平和維持活動(PKO)に派遣された陸自部隊が作成した日報をめぐる問題。情報公開請求に対して陸自が「不存在」として隠していた事実が、防衛省の他の組織にもあった日報を開示したからという理由で伏せられたことに、稲田氏が関わったのではないかという疑惑だった。
日報問題で稲田氏は3月に、防衛省の特別防衛監察を指示した。7月に入って、陸自側が稲田氏に日報の電子データが陸自内に保管されていたことを報告していた可能性を指摘する報道が相次いだ。稲田氏は全面否定を続けたが、ついに防衛相辞任にまで追い詰められた。
その辞任前に駆け込みで発表された監察結果。結局、稲田氏の関与はわからなかった。稲田氏はこの日の会見でも、陸自内のデータの保管について「報告を受けたという認識はいまでもない」と繰り返した。
ただ、監察では「報告があった」との証言もあった。そうした内容が相次いで報じられ、稲田氏の主張との食い違いが浮き彫りになっていた。
重要な問題で幹部と意思疎通が…
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