日本初の民間単独による宇宙空間到達ならず
濃い霧の中、実験場から打ち上げられた小型ロケット(30日午後4時30分、北海道大樹町で)=守谷遼平撮影
日本初の民間単独による宇宙空間到達をめざし、新興企業インターステラテクノロジズ(北海道大樹(たいき)町)が開発・製造した小型ロケット「MOMO(モモ)」(全長約10メートル、重さ約1トン)が30日午後、同町の実験場から打ち上げられた。
しかし約1分後に飛行データの送信が途絶えたため、同社はエンジンを緊急停止させ、MOMOは同町沖合約6・5キロ・メートルの太平洋に落下した。初挑戦で目標の宇宙には届かなかった。
同社は2020年頃に重さ100キロ・グラム以下の超小型人工衛星の打ち上げを受注することを目指し、低価格ロケットの開発を進めている。今回の打ち上げは宇宙空間に到達するロケットの基礎技術を得る目的で、2分間エンジンを燃焼させ、打ち上げの4分後に大気圏と宇宙空間の境界とされる高度100キロ・メートルを超える計画だった。
ロケットは午後4時31分に打ち上げられた。しかし1分6秒後、MOMOから地上に送られてきた飛行データが突然届かなくなる不具合が発生。高度約10キロ・メートルでエンジンを止める信号を送った。到達した最高高度は20キロ・メートル弱とみられるという。
同社の稲川貴大社長(30)は打ち上げの約3時間後に町内で記者会見を開き、「(目標の宇宙には到達しなかったが)データを取るという意味では満足している」と話した。同社は年内にも改良機の打ち上げを予定しているという。
ロケット開発に詳しい九州工業大の米本浩一教授(航空宇宙工学)は今回の実験について、「日本で民間発の打ち上げビジネスに挑戦する始まりとなった」と評価。その上で「ロケット開発は、国家プロジェクトでもうまくいかないことが多い。原因を調査し、対策を積み重ねることで技術は進歩する。諦めずに挑戦し続けてほしい」と話した。
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