東芝株は8月1日、取引市場が東京証券取引所の第1部から第2部に「降格」となる。大手電機では2016年のシャープに次ぐ2例目。17年3月末時点で債務超過となり、1部上場基準に抵触した。今後は上場維持が焦点になるが、監査法人の適正意見付き財務諸表の提出など、3つのハードルが待ち受ける。
1部銘柄としての取引最終日となった31日、東芝株は大商いとなった。売買代金は831億円と前週末の2.3倍に拡大。東証1部の売買代金ランキングの3位に入った。国内大手証券のトレーダーは「機関投資家の持ち高調整による売りが膨らんだ」と解説する。
機関投資家には、2部に降格する東芝を機械的に売却する理由がある。2部銘柄は東証株価指数(TOPIX)や日経平均株価といった日本を代表する株価指数の対象にならないからだ。年金や保険会社は指数に連動した運用が多く、日銀が購入する上場投資信託(ETF)も指数連動だ。これら機関投資家が一気に持ち高の調整に動いたとみられる。
年金などの長期投資家がいなくなることで、東芝株の値動きは一段と荒くなりそうだ。代わって、所属市場を気にしない個人投資家など短期筋の影響力が増す。松井証券の窪田朋一郎氏は「値幅の取れる東芝株は短期志向の個人に人気」と話す。7月には米著名アクティビスト(物言う株主)の保有が明らかになった。安定株主が減ると同時に「うるさ型」の株主が増えれば、東芝の経営再建の足かせになりうる。
上場維持に向けた道筋はまだ見えない。上場廃止の回避には(1)監査法人の「お墨付き」を得た有価証券報告書の提出(2)半導体メモリー事業の売却などによる債務超過解消(3)内部管理体制の改善――が必要だ。延期された17年3月期の有報提出を巡っては、10日の提出期限を控え、監査法人との調整が続いている。
1部再昇格への道も険しい。東証は1部指定の条件に「最近5年間の有報に『虚偽記載』なし」を挙げる。東芝は13年3月期有報の虚偽記載で金融庁から課徴金納付命令を受けており、この要件を満たすのに時間がかかる。直近10年間の2部降格事例をみると1部再指定を果たしたのは1社のみで、法的整理に追い込まれた企業もある。年度内のスピード昇格を目指すシャープは例外だ。
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