商品の大量仕入れで低価格を実現するとして、2000年前後に鳴り物入りで日本市場に参入し、「黒船」と呼ばれた海外の大手スーパーが相次ぎ撤退している。小売り世界最大手の米ウォルマートも、日本国内で300店を超える傘下の西友を売却する方針を固めた。人口減少が続く国内は成長戦略を描きにくい。安さだけでは満足せず、品質に強くこだわる消費者の習性も壁として立ちはだかったようだ。
ウォルマートや仏カルフール、独メトロ、英テスコ、米コストコ・ホールセール。多額の負債を抱え、1990年代後半から経営危機に陥っていたダイエーを横目に、欧米の大手スーパーが続々と日本に進出した。しかし、カルフールは05年、テスコは13年に撤退した。
ウォルマートは02年、西友に出資し、世界を席巻した安売り戦略「エブリデー・ロープライス(毎日低価格)」を展開。上陸直後、ウォルマート幹部は「日本で成功しなければ、真の意味での世界的小売企業とは言えない」と述べ、日本市場攻略に全力を尽くす意向を示していた。だが、「価格を上回る価値がないと買わない」(国内大手スーパー幹部)とされ、移り気な上に目が肥えている顧客の心はつかみきれなかった。
一方、全国に26店構えるコストコは、米国らしい大容量の商品が豊富。友人と共同購入して分け合う人も多く、「訪れる楽しさがある」(都内の主婦)という。メトロは飲食店などプロ専用スーパーを関東に10店展開。いずれも価格以外の独自性が武器となっている。
ウォルマートは13日、西友売却について「決定していない」とのコメントを出した。カルフールやテスコの店舗はイオンが買収したが、西友が抱える総合スーパーは現在、国内勢も苦戦しているだけに、買い手を探すのは容易ではない。(2018/07/14-16:46)
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