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政府は3日、新たなエネルギー基本計画を閣議決定し、原発の使用済み核燃料に含まれるプルトニウムについて「保有量の削減に取り組む」と初めて明記した。背景には核不拡散に強い姿勢で臨むトランプ米政権の意向があるとみられるが、削減に不可欠な原発の再稼働はなかなか進まず、実現に向けた道筋は見えない。
プルトニウムは原発の使用済み燃料の再処理に伴い発生する放射性物質。減らすにはウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を使ったプルサーマル発電しかないが、前提となる再稼働は東日本大震災後の規制強化もあって難航している。このためプルトニウムは増加基調にあり、日本は2016年時点で原爆約6000発分に相当する約47トンを保有している。
削減に関する記述は、経済産業省が今年5月にまとめた基本計画の原案には盛り込まれていなかった。一転して明記された背景には、核不拡散に対する米国の懸念がある。
米国の歴代政権は日本がプルトニウムを平和目的で利用することを容認してきた。だがトランプ政権は対話を通じて北朝鮮に核廃棄を迫る手前、日本を例外扱いできないとの意見に傾き、対米関係を重視する安倍政権は明記を決めた。
大手電力の関係者は「今後もすぐに原発の再稼働が進むとは考えにくい。(プルトニウムの)削減は難しいのでは」とみる。現在プルサーマル発電を行っている原発は3基のみで、電気事業連合会が目標とする16~18基を大きく下回る。
一方、太陽光や風力などの再生可能エネルギーをめぐっては、30年の電源構成比率は従来通り22~24%としたが、上積みを視野に入れ「(目標比率に)とどまらない導入を追求する」とした。原発は20~22%、石炭26%を目指す。(2018/07/03-21:24)
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