東京の南部にある品川エリアが今、注目を集めている。東京五輪・パラリンピックが開催される2020年春にJR山手線の品川−田町間に新駅が暫定開業するほか、27年には品川−名古屋間でリニア中央新幹線が開業する見通しであるなど、何かと話題が豊富なためだ。ただ、品川が都心の中核になるには課題もある。
山手線の新駅は30番目で、開設は約50年ぶりになる。新国立競技場も担当した建築家、隈研吾氏がデザインを担当。折り紙から発想し、屋根は白く、全体が複雑にくびれた形となっている。この18年8月末で既に約7割が完成しているという。
海外とのアクセスも抜群
新駅を建設しているのはJR東日本だ。旧JR品川車両基地跡地である約13ヘクタールという広大な土地を再開発する一環で、まず新駅を開業し、その後、高層ビル7棟を建設する計画だ。総事業費は5000億円とも言われ、「東京最後の大規模プロジェクト」とも呼ばれる。「六本木ヒルズを中心ににぎわいを集めた六本木エリアのような地域になれば、新しい都心の中核にもなれる」(街づくりの専門家)との期待もある。
リニアが開業すれば、品川は名古屋と約40分で結ばれる。「リニアと新幹線が両方停車する駅として希少価値が高く、品川駅は東京駅を超える地位に浮上なる可能性もある」と、不動産業界の専門家は話す。
最近の品川駅はスーツケースを押す外国人も多いが、京浜急行なら十数分で羽田空港とつなぎ、海外とのアクセスも抜群だ。交通の利便性の高さでは国内トップ級と言っても過言ではない。
エリア全体を盛り立てていこうという発想の有無
ただ、品川の将来性については、「まだ見通せない」という冷めた見方が少なくない。そもそも品川は東京の南端に位置しており、現在のビジネス街である大手町・丸の内、若者でにぎわう渋谷や新宿などから決して近いとは言えない。「よほどの魅力がなければ、気軽に遊びにいったりすることはないだろう」という見方も多い。
問題は品川エリア全体の魅力を作ることであり、JR東日本が進める再開発事業がどこまで人を呼び寄せられるかだ。ある街づくりの専門家は「JR東日本は元々、鉄道事業者で、駅を利用する人が増えればいいという考えが根底にあるはずだ。デベロッパーのように街全体の価値を上げるため、周辺を巻き込んでエリア全体を盛り立てていこうという発想があるのだろうか」と話し、JR東日本の力の限界を指摘する。
「JR東日本にとっては東京駅が最も重要。品川に注力するエネルギーはないのではないか」と見る不動産関係者もいる。焦点はJR東日本が本気で再開発に向かうか否かにかかっていると言えそうだ。
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