2017年7月26日水曜日

中小支援の実効性重要 「最低賃金1000円」掛け声倒れ懸念

 平成29年度の地域別最低賃金の目安額は、これまでで最大だった28年度の実績と並ぶ25円増で決着したが、平均時給848円は政府が目標とする「時給千円」にはまだ程遠い。最低賃金を下回る水準で働く人も増えており、賃金が確実に引き上げられるよう実効性ある中小企業支援が必要だ。

 政府は働き方改革実行計画に「全国加重平均で千円を目指す」と明記。千円を超えるには、今回のような3%の引き上げを35年度まで続けなければならない計算になる。

 積極的な賃上げを促したい政府は税制優遇や補助金制度の拡充を打ち出し、企業の生産性向上を支援する官民協議会も発足させた。トヨタ自動車などの大企業が中小企業の業務効率化を支援した事例を取り上げ、他業種への展開を呼びかけているが、審議会の議論では「どれくらい成果が上がるのか」と掛け声倒れを懸念する意見も出た。

 実際、厚生労働省の調査では最低賃金額より低い水準で働いていた労働者の割合が、28年度に2・7%と過去10年間で最多を記録。政府方針とは裏腹に経営の厳しい企業が人件費を抑え、違法な低水準の賃金で雇用している実態が浮かぶ。

 政府は最低賃金引き上げの高い目標を掲げるだけでなく、企業の収益力向上につながる有効な支援策を展開すべきだろう。

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Read Again http://www.sankei.com/economy/news/170726/ecn1707260029-n1.html

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