2018年2月26日月曜日

アブダビ更新も権益比率10%に低下 関与拡大目指すも目標遠のく

 アラブ首長国連邦(UAE)アブダビ首長国の海上油田の権益更新は、日本の官民挙げた資源外交の一定の成果だ。中国やインドなどが獲得に攻勢を強める中、長年の操業実績や社会貢献が評価されたとみられる。ただ、権益比率は低下し、日本政府が目指す自主開発比率の達成は厳しくなっている。

 「(下部ザクム油田の)10%を獲得できたのは大きな成果だ」。国際石油開発帝石の藤井洋常務執行役員は26日、こう語って安堵(あんど)の表情を浮かべた。

 国際帝石は現在、アブダビからの引き取り量が日量25万バレル。今回の権益比率低下などで一時的に引き取り量は減少するが、生産増強で「2020年代半ばには28万バレルに増える」(藤井氏)と強調する。

 日本にとってUAEはサウジアラビアに次ぐ原油輸入元で、全体量の4分の1を占める。中でもアブダビは、日本勢が世界に保有する油田権益の約4割が集中する。このため国際帝石は操業実績や開発計画のほか、研修生の受け入れや植林など社会貢献で信頼関係を築いてきた。

 ただ、原油の輸入量が増加する中国やインドは新規の権益獲得に向け、働きかけを強めている。特にアブダビ原油は埋蔵量が大きく、生産コストが低い。獲得競争には「14社以上」(同)が参加し、争奪戦を繰り広げた。

 日本政府も安倍晋三首相が2月、来日したUAEのジャーベル国務相兼アブダビ国営石油最高経営責任者(CEO)に権益更新を要請するなど資源外交を展開した。

 結果、権益の比率は12%から10%に低下したが、「単独で獲得できる最大値だ」(同)と評価する。

 ただ、日本は関与する割合を示す「自主開発比率」を現在の27%から、平成42年に40%に引き上げることを目指している。今回の比率低下で目標は遠のき、達成には険しい道のりが予想される。原油輸入量が減少傾向にある日本がどのように産油国と関係を維持し、エネルギー安全保障を確保するのか。今後の戦略が問われる。(会田聡)

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