宇部興産は23日、電線カバー材に使われるポリエチレン製品について、一部検査を実施しないまま出荷していたと発表した。顧客と約束した検査項目の一部について実際には試験・分析せず、過去データを流用するなどして検査結果を捏造(ねつぞう)。出荷先は電線メーカーなど50社に上り、不正は1990年代から行われていた。
宇部興産が検査不正を確認したのは昨年12月11日。素材メーカーの品質不正が大きな問題となる中で約2カ月半公表していなかった。同社の情報開示姿勢が問われる。
記者会見した宇部興産の山本謙社長は内部統制や企業としての倫理観が不十分だったと陳謝した上で、「製品の品質に問題はない」と述べた。公表の遅れについては、品質確認や顧客への説明を優先したと釈明。経営責任については「再発防止対策を行うのが私の責務だ」と強調した。
対象となったポリエチレン製品は、電力や通信のケーブルのカバー素材として使われる。宇部興産の千葉石油化学工場(千葉県市原市)が生産し、宇部興産と丸善石油化学が折半出資する宇部丸善ポリエチレン(東京)が販売していた。
千葉石油化学工場は顧客と約束した75の検査項目の2割強について、試験・分析をしないまま数値を記載して出荷していた。既に是正措置を取り、昨年12月20日以降は規定通りに検査している。
宇部興産は弁護士や社外取締役による調査委員会を設置して原因究明などを進め、3月末をめどに報告書をまとめる。(2018/02/23-19:05)
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