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27日の東京株式相場は、日経平均株価が反落。世界的な貿易摩擦への懸念が根強く、12月期決算銘柄の上期配当の権利落ちも響いた。ブリヂストンなどゴム製品株や輸送用機器株、機械株など輸出セクターが安い。ブルームバーグ・データによると、日経平均の権利落ち分は約29円。
半面、PERなど投資指標面からみた割安感に加え、昭和シェル石油との経営統合に創業家が一転同意と一部で伝えられた出光興産が急騰するなど石油・石炭製品株は高く、小売や建設株など内需セクターも堅調。相場全般の下方圧力は限られた。
日経平均株価の終値は前日比70円23銭(0.3%)安の2万2271円77銭。TOPIXは0.38ポイント(0.02%)高の1731.45と小幅に続伸した。
しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹運用部長は、「米国による貿易摩擦問題の混乱が深まってきており、積極的な買いは入りにくいとの見方と日本株の割安感を評価する動きが入り交じっている」と言う。貿易問題で次に何が出てくるかと警戒し、投資家の腰が引けている一方、「米国の通商政策は単なるファイティングポーズとの見方もあり、今の日本株は押し目買いのチャンス」とも藤原氏はみていた。
この日の日本株は小安く始まった後、午前後半にかけ下落基調となり、日経平均は一時136円安まで売られた。岡三証券の山本信一シニアストラテジストは、「米国の貿易摩擦問題に進展がなく、リスク選好にはなりにくい。前日に安値から250円近く上げた反動が出やすい上、配当権利落ちの影響もあった」と指摘した。
ただ、午後に入ると下げ渋り。きょうのドル・円はおおむね1ドル=110円80銭ー110円20銭台で推移し、前日の日本株終了時109円60銭に比べ円安水準だったことも下支え要因となった。しんきんアセットの藤原氏は、「日本株のEPSが伸びる中、PERは13倍台と割安感が強く、為替が1ドル=110円前後で安定するなら、業績の上方修正期待も高まる」と話していた。
また、いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員は、米国による欧州連合(EU)製自動車への関税問題が進展の兆しを見せている点に言及。「日本の自動車産業は部品メーカーなどを含め経済の中心のため、良いこと」としながらも、「最終的にどう決着するかの見極めが必要」との認識も示した。
トランプ米大統領は26日、中国による米国の重要技術分野への投資制限で、対米外国投資委員会(CFIUS)を活用するなど比較的穏やかなプロセスを採用する可能性を示唆。ハセット米大統領経済諮問委員会(CEA)委員長は、米国が中国と欧州連合(EU)の関税引き下げを勝ち取るため、自らのレバレッジを活用する可能性は高く、EUが自動車関税をゼロにするための提案を示すとの報道は「経済チームが期待しているような進展だ」と述べた。
東証1部33業種はゴム製品、空運、海運、非鉄金属、機械、輸送用機器、不動産、繊維、鉄鋼など20業種が下落。上昇は石油・石炭製品、パルプ・紙、鉱業、小売、精密機器、建設、情報・通信、サービスなど13業種。売買代金上位では、モルガン・スタンレーMUFG証券が投資判断を弱気に下げたカチタスが急落し、キヤノンやJT、東海カーボン、ホンダ、ブリヂストなど権利落ち銘柄が安い。半面、出光興産創業家の一転同意で、同社と昭和シェル石油が2019年春に経営統合する見通しと日本経済新聞が報じ、両社株は大幅高。新作ゲームへの期待でガンホー・オンライン・エンターテイメントも高い。
- 東証1部の売買高は13億6713万株、売買代金は2兆2300億円
- 値上がり銘柄数は1208、値下がりは801
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