今年の成人式で新成人が振り袖を着られないトラブルを起こした晴れ着レンタル・販売会社「はれのひ」(横浜市、破産)が、改ざんした決算書類を示して銀行から不正に融資を引き出したとして、神奈川県警は23日、社長だった篠崎洋一郎容疑者(55)を詐欺容疑で逮捕した。篠崎容疑者は同日午後に渡航先の米国から成田空港に帰国し、県警の事情聴取を受けていた。
逮捕容疑は、2016年9月、返済能力がないのに、千葉県柏市に柏店を開店する名目で、売り上げを約5000万円水増しした15年9月期の決算書類などを横浜銀行に示し、融資金3500万円を詐取したとしている。県警は認否を明らかにしていない。
県警は、篠崎容疑者が融資の時点で、近い将来に会社が破綻する恐れがあると認識していたとみており、他の借り入れについても不正がなかったか、捜査している。
篠崎容疑者は午後3時45分ごろ、米国・ロサンゼルス発の全日空機で帰国した。マスクをかけ、ややうつむきがちだった。
破産申立書などによると、はれのひは14年9月期、15年9月期の決算では最終(当期)利益を上げていたが、16年9月期決算で約1億5000万円の特別損失を計上し、過去の売り上げ・在庫などの過大計上を修正した。これで新規の借り入れが困難になり、資金繰りが窮迫。14年以降に5店舗を相次いで開設したことによる支出増が重なり、業績が悪化していったとみられる。県警は、経営は自転車操業的だったとみている。
同社を巡っては、今年1月8日の成人式の直前に営業を停止し、式当日に晴れ着を着られない新成人が続出。社会問題になり、経営破綻した。負債総額は約10億8500万円。6月20日に篠崎容疑者不在のまま開かれた債権者集会で、破産管財人は、会社にほとんど資産がなく、債権者への返済ができないと伝え、破産手続きは終了したと説明していた。【杉山雄飛、中村紬葵】
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