2018年6月22日金曜日

トヨタ センチュリーを全面改良、匠の技の伝承狙う

 トヨタ自動車が22日に発売した3代目の最高級セダン「センチュリー」は、国内の設計や生産の技能を高めるという役割も担う。初代と2代目は当時の最新技術を披露する車だったが、高級ブランドのレクサスの車種が増え、存在意義が変わりつつある。1週間程度をかける塗装、圧倒的な静粛性にこだわる防音性能など手作りのものづくり文化継承に重点を置く。

トヨタ自動車が発表した新型「センチュリー」(22日、愛知県長久手市)

 初代センチュリーは高度成長期の1967年に発売された。明治時代の始まり、トヨタグループ創始者の豊田佐吉氏の誕生から100年にちなみ「センチュリー」と名付けた。販売は約50年間で累計4万台強。皇室や企業トップらの利用が多く、後部座席の居心地の良さに特化する。

 21年ぶりに全面改良した3代目の役割について開発責任者の田部正人氏は「手作りの技で最高の乗り心地、静粛性、デザインを追求した」という。トヨタ自動車東日本の東富士工場(静岡県裾野市)では1年ほど前に前モデルの生産をやめ、平安時代の柱にあしらわれた「几帳面(きちょうめん)」という処理技術などを磨いてきた。

 中型車担当の中嶋裕樹常務役員は「量産車でこれほど手作りをするトヨタ車はない。他の車種の設計や技能を高めることにもつながる」と説明する。中型車の開発陣はカムリやクラウンも含めて同じ部屋で研究しており、交流により要素技術を取り込むこともある。

 初代は米国の高級車で普及していたAT(自動変速機)を載せた。97年発売の2代目は日本の市販車として初めて排気量5000ccの12気筒エンジンを導入するなど「コストや売れ行きの議論よりも最高の技術を見せる車種」(トヨタ幹部)と位置付けていた。現在はレクサスの旗艦モデル「LS」がその役割を担うが、技能を継承する役割は変わっていない。

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