2018年6月29日金曜日

割れる創業家 会社側「統合協議再開」 株主総会

出光興産の株主総会の会場に向かう株主ら=東京都港区で28日午前

 石油元売り大手の出光興産は28日、東京都内で株主総会を開いた。昭和シェル石油との経営統合に反対していた創業家の一部が賛成に転じ、今後の協議の行方が注目される中、会社側は株主らに創業家側との協議を再開したことを説明した。【袴田貴行、和田憲二】

 総会は株主約300人が出席し、非公開で行われた。出席した株主によると、木藤俊一社長が「大株主との間で協議を再開している」と表明したが、具体的な説明はなかった。株主からは早期の経営統合に賛成する意見が多く出されたという。創業家側からの発言はなかった。総会は約2時間で終わり、月岡隆会長らの取締役選任など会社提案議案はすべて承認された。

 総会終了後に取材に応じた男性株主(67)は「合併には賛成。早く進めてほしい」と語った。一方、別の男性株主(68)は「合併しないと生き残れないとは思わない。出光ブランドを残してほしい」と語った。

 出光と昭和シェルは2015年7月に経営統合に合意。17年4月の統合を目指していた。しかし、16年6月の出光の株主総会で、創業家側が「企業文化の違い」などを理由に反対票を投じて経営側と対立。統合計画は無期延期となっている。

 創業家による出光株の持ち分は関連会社を含めて約28・5%。関係者によると、出光昭介名誉会長と次男正道氏がなお反対する一方、長男正和氏は賛成に転じた。正和氏は個人名義で約1%、自身が社長を務める資産管理会社「日章興産」を通じて約13%を保有。一方、昭介氏と正道氏は個人で計約2%、昭介氏が代表を務める財団や関連会社が計約12%を保有している。

 経営側はこれまで、増資による新株発行で創業家の議決権を3分の1以下に引き下げる一方、「強行採決」ではなく、あくまで創業家との対話で解決を目指す方針をとってきた。創業家の持ち株の一定数を保有する正和氏が賛成に転じたことで、統合実現へ前進した形だ。

 昭介氏に近い関係筋によると、昭介氏は「正和は賛成したが、私と正道は依然反対している。今後の動きは木藤社長次第だ」と話しているという。経営側が正和氏の方針転換を受け、昭介氏らの反対を押し切って統合へ踏み込むのかどうかが焦点となる。

 また、別の関係筋によると、旧「村上ファンド代表」で投資家の村上世彰氏や、香港に拠点を置く投資ファンドなど「物言う株主」も出光株を保有しているという。昭和シェルとの合併で企業価値を向上させることを主張しているとみられ、こうした動きも経営統合に影響を与える可能性がある。

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