2018年6月27日水曜日

システム障害、信頼に影 28日取引再開

システム障害が発生し、陳謝するみずほ証券の金森裕三常務取締役(左)ら=東京都中央区で2018年6月27日午後7時6分、古屋敷尚子撮影

 みずほフィナンシャルグループ(FG)傘下のみずほ証券は27日、22日から続いているインターネット取引のシステム障害について、28日の全面取引再開を目指す方針を明らかにした。登録している117万口座に影響が及び、計1222件(約1000人分)の株式売買注文の処理ができなくなった。取引停止が2日間続く異常事態となり、みずほグループ全体の信頼にも影響しそうだ。

 「利用客に大変な心配をおかけした。深くおわび申し上げる」。27日夜記者会見した金森裕三常務は頭を下げ、陳謝した。

 システム障害は、22日午後6時から25日にかけて発生し、株などを注文する「みずほ証券ネット倶楽部」を通じた売買取引ができなくなった。みずほ証券は25日朝に障害を認識したがそのまま注文受け付けを継続し、26日朝になって原因を詳しく調べるため売買の受け付けを全面停止した。記者会見での詳しい説明は27日夜になってからだった。

 同社によると、発生原因は取引などの「業務システム」と、全体のシステムをコントロールする「運用管理サーバー」の間で通信障害が発生したためで、社員らが業務システムを更新する際の通信設定を誤ったという。約1200件の注文については、注文段階の価格で取引をする是正措置を行うとしている。

 みずほFGでは、傘下のみずほ銀行が2002年4月の第一勧業、富士、日本興業の3行合併初日と、東日本大震災直後の11年3月に大規模なシステム障害を起こした。今月9日からは、みずほ銀とみずほ信託銀行の基幹システムを新システムに統一するための1年がかりの移行作業を開始しており、過去のシステム障害を踏まえて「安全かつ着実」(みずほFG・坂井辰史社長)に進めるとアピールしていた。

 こうした中、同じグループのみずほ証券で起きた大規模なシステム障害に対して、証券関係者は「証券会社で過去に起きたシステム障害は、半日あれば正常化している。2日間は長すぎる」と体制を疑問視する。銀行の新システム移行作業に証券システムは含まれていないが、東京都内の男性利用者(73)は「みずほはシステム障害を起こすというイメージがついてしまい、不安だ」と心配しており、証券のシステム障害は、みずほFG全体の信頼失墜にもつながりかねない。【小原擁、古屋敷尚子】

 【キーワード】みずほ証券

 みずほフィナンシャルグループ(FG)傘下の大手証券会社。みずほ銀行などの発足に伴い、2000年に第一勧業証券、興銀証券、富士証券が統合して誕生。09年に新光証券が合併し、13年にはみずほ銀行子会社だったみずほインベスターズ証券を吸収合併した。18年3月期決算の純営業収益(一般企業の売上高に相当)は証券業界5位だった。

 日銀の超低金利政策を背景に、グループ中核のみずほ銀行は貸出金利と預金など調達金利の差である利ざやが縮小し、国内の貸出業務は厳しい状況が続いている。FGは銀行、信託、証券の連携を強化して手数料などの非金利収入を伸ばす方針で、みずほ証券はグループ唯一の総合証券会社として重要度が増している。

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