2018年6月18日月曜日

都市機能まひ 帰宅困難者、駅周辺にあふれ

電車の運転再開やバスの運行について駅員らに問い合わせる人たち=JR大阪駅で2018年6月18日午後5時14分、猪飼健史撮影

 大阪府北部を震源とした今回の地震は都市機能をまひさせた。JR大阪駅や阪急梅田駅周辺では夜まで、移動手段をなくした通勤客らでごった返し、不安そうにスマートフォンで家族らと連絡を取り合っていた。

 18日午後6時半過ぎ、JR大阪駅3階にある改札前では、約130人が疲れた表情で運行再開を待っていた。

 東大阪市の団体職員、桑田剛宏さん(42)は、東京都内で20日から始まるイベントのため、この日朝にJR新大阪駅から新幹線で東京に向かい、昼ごろ到着の予定だった。自宅を午前8時前に出て近鉄や大阪メトロを乗り継いで、午後1時半過ぎにようやくJR大阪駅に着いた。

 しかし、新大阪駅までの交通手段がなく、大阪駅周辺にとどまり、メールやLINE(ライン)で取引先とやりとりしていた。「何とか、今夜中に東京に着きたい。安全のために万全を期すのは分かるが、再開があまりにも遅すぎるのではないか」と漏らした。

 また、大阪駅周辺の地下街では臨時休業が相次いだ。ある飲食チェーン店では午後2時半過ぎ、マネジャーの男性(39)が制服姿で後片付けをしていた。本来は午後10時までの営業だが、スタッフを早々に帰宅させた。地震当時、地下街では「地上に出てください」という呼びかけと、「地下にとどまってください」との放送が流れ、客らが混乱していたという。

 阪急梅田駅でも改札前で電車を待つ人の姿があった。午後5時過ぎ、大阪府摂津市の会社員、山口克己さん(63)がシャッターが下りた店の前で座り込んでいた。奈良県橿原市内の近鉄大和八木駅に着いた直後に地震に遭った。夕方に梅田に戻り、運転再開を待っていたという。午後8時前、京都方面行きの一部再開のアナウンスが流れると、山口さんは「余震がないか心配ですが、ホッとしました」と話していた。

 電車を待ちきれず、歩いて帰ろうとした人も大勢いた。淀川にかかる新淀川大橋の歩道では、同府吹田市の会社員、久徳智(ひかる)さん(54)が家路を急いでいた。午後7時ごろ大阪駅から歩き始めた。「自宅までは1時間半~2時間かかる。疲れたが、天災なので仕方がない」とあきらめたような表情だった。

 一方、外国人観光客も慣れない土地での被災で混乱した。香港から家族4人で関西国際空港に着いた男性(42)は「空港に降りて初めて大きな地震があったことを知った。街の被害の程度はどうか」と心配そうだった。京都で宿泊予定だったが、移動手段はなく、「大阪市内でも、どこか宿泊先を見つけないといけない」と焦っていた。4歳と6歳の娘を連れ、タブレット端末を操作していた。

 緊急地震速報も外国人観光客には分かりにくい。関空で香港行きのキャンセル待ちをしていたオーストラリア人のミシェル・スパークスキャロルさん(26)は、大阪市内の宿泊先で地震に遭った。「アラームが突然鳴り響き、ベッドから跳び起きた。地震は初めての体験で驚いたけど、スタッフが津波の心配はないことや、建物は安全なことを教えてくれたから冷静になれた」と振り返った。【蒲原明佳、畠山哲郎、松浦吉剛】

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