国税庁は2日、相続税や贈与税の算定基準となる2018年分の路線価(1月1日時点)を発表した。静岡県内の標準宅地は平均で前年比0.7%下落し、10年連続のマイナス。県内13税務署管内の最高路線価は駅前の商業施設がにぎわう熱海市や藤枝市など6地点で上昇したが、人口減などを背景に郊外や沿岸部などは下落傾向が続く。
路線価は主要道路に面した民有地の1平方メートル当たりの標準価格。県内では今回、約9300地点が対象になった。下落率は2年連続で縮小した。
税務署別の最高路線価の上昇率が最も大きかったのは、17年と同じ藤枝市前島1丁目(3.6%)だった。JR藤枝駅南口の複合商業ビル「オーレ藤枝南館」が16年3月に開業したほか、マンションの建設も進み、地価が上昇した。
静岡市清水区草薙1丁目は2.9%上昇。草薙駅は鉄道の利便性が高いうえ、常葉大学草薙キャンパスが18年4月にオープンしたこともあり、にぎわい創出が地価上昇につながっている。
最高路線価の県内最高は静岡市葵区紺屋町で、0.9%上昇の118万円。県内トップは39年連続だった。浜松市の最高地点は中区砂山町の浜松駅前通りで、1.1%上昇の95万円。ともに繁華街で人通りも多い。
一方、島田、沼津の両税務署管内の最高路線価は落ち込んだ。島田の最高地点は2.2%下落、沼津は1.8%下落した。不動産鑑定士の小泉喜洋氏は「駅前の核になる大型店の撤退が響いている」と指摘。島田は商業集積が進む藤枝に客足が流れ、沼津は再開発が進む三島ににぎわいを奪われているようだ。
全国平均は0.7%上昇し、3年連続で前年を上回った。隣県では愛知県が1.5%上昇、神奈川県が0.6%上昇とプラスを維持。半面、山梨県(1.4%下落)や長野県(0.6%下落)は低迷している。
南海トラフ巨大地震のリスクも指摘される静岡県内では依然として、郊外や沿岸部は下落傾向が続いている。下落率は縮小してきているが、反転の兆しはなお見えない。
(福島悠太)
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