仙台国税局が2日発表した東北6県の2018年分の路線価(1月1日時点)は6県全体(標準宅地の平均値)で前年比0.6%上昇した。上昇は3年連続。宮城は仙台市のオフィス需要が寄与して3.7%上昇。福島は復興需要が落ち着くも1.3%上がった。他の4県は下落が続いているが、再開発など将来の地価上昇につながりそうな動きもある。
宮城の最高路線価地点は「仙台市青葉区中央1丁目青葉通り」で、前年比12.4%上昇した。2017年2月に閉鎖したさくら野百貨店の前だが、駅近くの商業施設などの集客力が堅調で、影響はほとんどなかった。
仙台市の中心部「青葉区本町2丁目広瀬通り」は前年比14%上がり、上昇率は県内首位。不動産サービス大手、CBREの稲毛敦士仙台支店長は「オフィス需要や投資マネーが増えている」と分析する。
路線価は相続税や贈与税の算定基準となる。18年は相続税の評価ルールが変わり、三大都市圏以外の地域では千平方メートルを越える一部の宅地が実質増税となる。不動産鑑定士の高田康弘氏は「郊外に広い土地を持つ人は増税となるケースもある」と話す。
福島は5年連続の上昇。最高地点は「郡山市駅前1丁目郡山駅前通り」の1平方メートル当たり29万円だった。東日本大震災と東京電力福島第1原子力発電所事故の被災者の住宅需要が山を越え、復興関連事業者の不動産利用も落ち着きつつある。原発事故避難者が多く住むいわき市の「平字三町目いわき駅前大通り」は17年に4.2%だった上昇率が0%となった。
福島県不動産鑑定士協会の小椋満幸氏は「下降傾向はあるが、全体としては高い水準を維持しており、現状で極端な下落は考えにくい」と話す。
宮城、福島以外の4県は下落傾向が続くが、地価上昇の兆しもある。
青森は1.5%下がった。県内最高地点は「青森市新町1丁目新町通り」で3年連続同額の15万5千円だった。同地点は青森駅まで徒歩5分ほどと近い。20年度末にも青森駅が新駅舎になるのに合わせ、県と市、JR、青森商工会議所が連携して駅前地区のまちづくりに取り組む方針だ。
岩手は19年連続の下落で0.9%下がった。一方、最高地点の「盛岡市大通2丁目大通り」は2.1%上昇した。上昇は26年ぶり。県宅地建物取引業協会によると、物販店から飲食店への転換が進んでおり、需要が増えているという。
秋田は2.3%下がった。下落率は5年連続で全国最下位。県人口は昨年100万人を割り込み住宅需要は弱い。一方、最高地点「秋田市中通2丁目秋田駅前通り」は下げ止まり、25年ぶりに横ばいに転じた。秋田駅周辺は17年春以降の秋田駅の改修、JR秋田支社の建て替えに続き、商業施設「オーパ」開業など活性化が期待されている。
山形は0.5%下落したが、最高地点の「山形市香澄町1丁目山形駅前大通り」は3%上昇した。上昇は25年ぶり。山形市内では中心市街地が七日町エリアから駅前地域に移っている。地元不動産会社によると、駅周辺では入札に東京の大手デベロッパーが参加することもあるという。
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