日銀仙台支店が2日発表した6月の企業短期経済観測調査(短観)は、東北6県の企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が全産業でプラス10と、前回(2018年3月)から1ポイント改善した。製造業はプラス14と世界的な景気回復を背景に半導体や自動車など関連部品の受注増で高水準を維持。非製造業はプラス8で横ばいだった。深刻な人手不足がコスト増の要因になっている。
業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を差し引いた値。5月29日から6月29日の調査で、回答企業は713社だった。
製造業は4四半期連続で改善した。世界的に好調な半導体を中心に幅広い分野で受注を伸ばしている。生産用機械は11ポイント上昇してプラス50、業務用機は15ポイント上昇のプラス38。自動車関連でも国内外の生産拡大を受け、輸送用機械は6ポイント上昇してプラス12と改善した。
生産調整に動いていたスマートフォン(スマホ)の影響で悪化が続いていた電気機械は9月の予想で上向くとみる企業が増え、1ポイント上昇のプラス10を見込む。一方、首都圏で東京五輪や再開発の建設需要を受けて好調だった建設資材には「一服感がみられる」(岡本宜樹支店長)とした。木材・木製品は29ポイント悪化し、プラス14に落ち込んだ。窯業・土石も8ポイントの悪化でプラス17に下がった。
燃料費や人件費の上昇によるコストアップを製品に転嫁できなかった業種では景況感が悪化している。非鉄金属は21ポイント悪化してプラス29。野菜価格の高騰から食料品は4ポイント悪化でマイナス17に下げた。製造業では米国の保護主義的な政策に懸念の声も出始めているが、今回の業況判断には反映されていないという。
非製造業は運輸・郵便が4ポイント上昇した。燃料費や人件費のコスト増加をサービス価格に転嫁する動きが広がっている。建設はプラス22と横ばいで高水準が続く。東日本大震災の復興関連の工事需要が減るなか、工場の設備投資など民間需要が景況感を押し上げている。 設備投資計画は18年度に前年度比6.9%増を見込む。過去5年で2番目に高い水準だ。雇用人員が「過剰」と判断した企業から「不足」の割合を引いた雇用人員判断DIは全産業でマイナス34と1991年のバブル期以来の低い水準で、人手不足感が強まっている。
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