関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の運転差し止めを周辺住民らが求めた訴訟の控訴審判決が4日、名古屋高裁金沢支部(内藤正之裁判長)で言い渡される。東京電力福島第1原発事故以降に起こされた原発の運転差し止め訴訟で、高裁判決は初めて。1審福井地裁は2014年5月に2基の運転差し止めを命じており、高裁の判断が注目される。【岩壁峻】
最大の争点は耐震設計で想定する最大の揺れ「基準地震動」が適切かどうかだ。1審で関電側は700ガル(ガルは揺れの勢いを示す加速度の単位、現在は856ガルに引き上げ)が適切で、1260ガルまでは重大な損傷がないと訴えた。判決は、各地の原発で05年以降、基準地震動を超える揺れが5回観測されていることを挙げ、「大飯原発にも1260ガルを超える地震が到来する危険がある」と関電側の主張を退けた。
控訴審では内藤裁判長が「基準地震動に一番関心を持っている」と述べ、住民側から申請があった元原子力規制委員長代理の島崎邦彦・東京大名誉教授を証人に採用。大飯原発の基準地震動の審査を担当した島崎氏は、関電が使った計算式を検証した結果、揺れの想定を過小評価している可能性があると指摘した。これに対し関電側は、計算式は多くの研究者による検証で確認されていると強調。「原子力規制委も大飯原発の基準地震動を見直す必要がないと結論付けている」とした。
一方、差し止めの判断基準として1審判決は「福島原発事故のような事態を招く具体的危険性が万が一でもあるか」を示した。
関電側は控訴審で「実質的に抽象的、潜在的な危険性が少しでもあれば運転を許されないとの基準で妥当ではない。科学的、専門的判断を尊重すべきだ」と反論し、原子力規制委の安全審査を重視するよう求める。差し止め判決は確定しなければ運転が可能で、関電は今春に3、4号機を再稼働させている。
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