日産自動車で、国内で車両を組み立てる全工場でのずさんな運営が明るみに出た。本来は社内で検査員と認められた従業員が完成車を検査する必要があるが、守られていなかった。新車登録前の6万台の検査がやり直しとなり、ユーザーに渡った100万台規模も対象の可能性がある。法令軽視の批判は免れず、ブランドイメージや業績への悪影響は避けられない。
自動車メーカーは、工場で車を生産する最終段階で「完成検査」を行う。本来は国が行う検査を、工場で代行しているような形だ。完成検査を受けた証明が、安全に路上を走る車としての「お墨付き」となる。その後、販売店に出荷され、ナンバーを付けてユーザーに引き渡される。
国が定めた要項では、各社が知識や技能を考慮し、自社で認めた正規の「完成検査員」が検査するよう求めている。しかし日産では、認定されていない「補助検査員」が検査していた。全工場で正規の検査員は約300人で、補助検査員は約20人。この補助検査員が、正規の検査員が行う業務を行っていた。
認定を受けた検査員かどうかは、バッジの有無で判別できる。補助検査員は作業に習熟しているが、レベルには個人差があるという。日産の社内調査では、補助検査員が検査をすることが問題だという認識もない従業員もいた。
安全性が重視される自動車の生産現場で、法令を守る認識が欠けていた。この状態がどれだけ続いていたかについて、日産は「調査中」としており、長期にわたって常態化していた可能性がある。
問題があったのは、追浜工場(神奈川県)、栃木工場(栃木県)、日産九州(福岡県)、日産車体(神奈川県)、同社傘下のオートワークス京都(京都府)、日産車体九州(福岡県)で、国内の車両組み立ての全6工場だ。9月18日、国土交通省の立ち入り検査で発覚し、日産は同省の指摘まで把握していなかった。
現時点でユーザーへの引き渡し…
0 件のコメント:
コメントを投稿