2017年9月28日木曜日

東芝メモリ、日本勢が経営主導権、HOYAなど出資-売却で契約

東芝は28日、半導体子会社「東芝メモリ」の売却先として米投資会社ベインキャピタルが主導する日米韓連合と契約を締結した。半導体の部材を手掛けるHOYAが出資、議決権比率は40.2%となる東芝と合わせて日系企業が過半となり、経営を主導することになった。

  発表資料によると、東芝本体が3505億円を出資、ベインが2120億円、HOYAが270億円、韓国のSKハイニックスが3950億円、米アップルデルキングストン・テクノロジーシーゲイト・テクノロジーの米IT企業4社が総額で4115億円を直接または間接出資。総額は2兆円となる。SKハイニックスは今後10年間は15%超の議決権を持てない条件とした。

  3月までに売却できれば、東芝は上場廃止基準である2期連続の債務超過回避に向け一歩前進する。しかし、売却完了には合弁相手の米ウエスタンデジタル(WD)との係争問題が東芝メモリの売却や事業の将来に悪影響を与える可能性があるほか、6カ月程度はかかるとされる関係国当局による独禁法審査など障害は多い。

  22日に販売が始まったアップルの「iPhone(アイフォーン)8」には、基幹部品であるメモリーにSKハイニックス製、ストレージには東芝製が採用されており、日米韓連合はアイフォーンの部品供給元が集結した形となった。

強まるWDの対抗姿勢

  また契約では、産業革新機構日本政策投資銀行に、WDとの係争が解決した場合、具体的な議決権行使方法を選べる権利を与えた。WDは国際仲裁裁判所に東芝メモリ売却の差し止めを求めているが、救済措置として仮処分を追加申請する方針。東芝が単独で決めた四日市工場でのメモリー増産投資の差し止めも請求している。

  BNPパリバ証券の中空麻奈チーフクレジットアナリストは、「WDの訴訟問題が残っていることや、これまでの経緯を考えると今後も行方を慎重に見る必要があるが、結果的に日本勢が議決権の過半を持ち、SKハイニックスの議決権問題もクリアしている」と指摘。「一歩前進でポジティブに見ている」と述べた。

   柳田国際法律事務所の川島佑介弁護士は独禁法審査について、日本、米国、中国、韓国、EUで対象になると見込む。中国では届出書の正式受理までに1、2カ月かかることが多く「クリアランスを取得するまでの時間はかなりタイトになるかもしれない」と分析。WDとの係争問題は「暫定的な差し止めについての判断に従い、売却を断念せざるを得ない可能性もある」という。

  東芝は20日に開いた取締役会でベインなどの日米韓連合に売却先を決めていた。10月24日に臨時株主総会(幕張メッセ、午前10時から)を開催し、2017年3月期決算、10人の取締役選任のほか、東芝メモリの売却契約について株主に諮る予定だ。

  日本取引所グループの清田瞭グループCEOは27日の会見で、契約が調印されたとしてもWDとの訴訟や独禁法審査などがあり、引き続き注視していく必要があると指摘。3月までに売却が完了しなかった場合は、救済措置などは一切考えず、上場廃止基準に照らして公正に判断する姿勢を示した。  

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