2017年9月28日木曜日

東芝半導体、日米韓と売却契約 アップルも資金

 東芝は28日、米投資ファンドの米ベインキャピタルを軸とする「日米韓連合」と、半導体メモリー子会社「東芝メモリ」の売却契約を結んだと発表した。売却額は2兆円で、東芝とHOYAの日本勢が東芝メモリの議決権の過半を握る。東芝は10月24日に開く臨時株主総会で株主から売却の承認を得る予定。原子力発電事業の巨額損失で揺らいだ東芝は、経営再建への一歩を踏み出す。

 日米韓連合は買収目的会社を通じ東芝メモリを買収する。東芝とHOYAがそれぞれ3505億円、270億円を投じ目的会社の普通株などを取得する。両社合計で議決権の過半を握る。ベインは2120億円を拠出し、残りの議決権を持つ。

 韓国メモリー大手のSKハイニックスも融資などで3950億円を拠出する。SKは今後10年間にわたり、15%を超えて議決権を取得できないほか、東芝メモリの機密情報にアクセスできない。

 東芝メモリと取引関係のあるアップル、デル、シーゲイト・テクノロジー、キングストンテクノロジーの米国4社は4155億円を拠出して議決権のない優先株を取得する。三井住友銀行など東芝の取引銀行は買収資金として合計6千億円を融資する。

 東芝メモリの売却を巡っては、協業先の米ウエスタンデジタル(WD)が売却差し止めを求めて国際仲裁裁判所に仲裁を申し立てている。係争が終結した後に官民ファンドの産業革新機構と日本政策投資銀行も東芝メモリに資本参加する。

 東芝メモリの売却が来年3月末までに完了すれば、東芝の株主資本を7400億円改善できる効果が見込める。株主資本は前期末に5千億円強の債務超過だったが、今期末には2千億円程度のプラスに回復する見通し。上場廃止の対象となる2期連続の債務超過を解消できる見通しだ。

 係争問題が落ち着けば、東芝メモリは3年後をメドに新規株式公開(IPO)する計画だ。

 今後、東芝メモリは各国の独占禁止法審査に入る。通常6~9カ月かかるとされる中国独禁当局の審査が長期化する可能性もある。売却完了が4月以降にずれ込む場合、東芝は債務超過解消に向けた新たな対応を迫られる。

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