2017年9月30日土曜日

日産、出荷前の完成検査を未認定者に任せる…影響は6万台+過去3年間の全車種に

29日、週末金曜日の19時、開催予告から開始までわずか1時間足らずというあわただしい中で、日産自動車の会見は始まった。

「販売会社の在庫車の登録手続きを停止する決断をしました。これは国土交通省の立入調査があり、車両製造の最終である完成検査工程で一部不備があったことによるもの」(広報担当・濱口貞行部長)

公道を走るためには車検を受けなければならない。完成検査は、その“ゼロ回目の車検”に当たる。組み上がった完成車に対して、検査員が規定の検査をして完成検査終了証を発行することで、初めて販売会社に卸すことができる。ユーザーが新車を手にするのは、その後に運輸支局や検査登録事務所で新規登録をしてナンバーを付けた後だ。

日産はこの“ゼロ回目の車検”でミスをした。完成検査を補助検査員に任せていたのだ。この検査は社内で経験と研修を通った検査員が行わなければならず、日産では完成検査員と呼び、認定されたことを示すバッジを身に付けている。完成検査員はそれぞれの自動車会社が自社で認定すればよいが、公道を走るための基準に適合しているかどうかを検査するわけだから「検査に必要な知識及び技能を有する者のうち、あらかじめ指名された者」と、国交省が通達で定めていた。

9月18日、生産拠点の1つである日産車体湘南工場に立ち入った国交省職員の指摘で、日産は「初めて知り」確認を行ったところ、追浜工場、栃木工場、日産自動車九州の同社3事業所と、日産車体、日産車体九州の関連会社で、認定を受けていない補助検査員が検査を行っていたことが分かった。

「検査自体は行っている。補助検査員も検査員として働いているし、安全性は問題ない。ただ、登録前の車両は(制度上)その確認ができていないということになるので、それを確かめて再出荷する」(トータルカスタマーサティスファクション本部・杠直樹エキスパートリーダー)とするが、国交省が指摘した18日までに前記5つの生産拠点にある出荷前のすべての未登録車両は約6万台。そのすべてを正規の完成検査員で再検査することになった。登録を止めたというより、「完成検査の確実な実施を確保するように業務体制を改善すること」という国交省の指摘を前に、登録できなくなったというに等しい。

補助検査員が検査を行っていた可能性のある車両は、軽自動車を除く、日産が国内販売するすべての車両に及ぶ。

影響は今後、すでにナンバーを取得して走っている日産車でも及ぶ可能性がある。まだ1回目の車検時期が到来してない新車、つまり2014年9月以降に新規登録を行った車両についても再検査を行う必要性が出てくるかもしれないのだ。同社では補助検査員が完成検査員の肩代わりをしていた実態をつかみ切れていないからだ。現在、同社が過去にさかのぼって完成検査票に残された検査員を確認中で、今回の会見では明らかにされなかった。

「リコールのルールに基づいて、可能性のある車両はすべて行う」(杠氏)と話すが、全容も見えず、その具体策は未定だ。

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