2018年2月4日日曜日

ヤフーの6億円を蹴り海外へ お金より自由を選んだ湯川カナさんの決断

 女性や若者を企業、行政と結びつけて社会進出をサポートする一般社団法人「リベルタ学舎」(神戸市中央区)。

 代表理事の湯川カナさん(44)は「みんなが助け合う社会をつくることができれば」と話す。(岡本祐大)

司法試験失敗→ヤフージャパン立ち上げ参加

 管理士や保育士、ライターなど100人以上が所属。企業や行政と連携してセミナーや講座を企画するほか、インターネットのサイトも運営している。

 メンバーは自らが実現したい企画を提案。社内で議論を重ねながら、企業に売り込んでいく。実現性や収益性が低い提案には会議で「あなたが楽しいだけ。自己満足では?」などと湯川さんから指摘が飛ぶ。収益性には徹底してこだわっているからだ。

 大学時代に司法試験の合格を目指したが失敗。バンド仲間を介して、ソフトバンクグループの孫正義社長の弟で実業家の孫泰蔵さんと出会い、インターネット検索サイト「ヤフー!ジャパン」の立ち上げに参加した。

 IT黎明(れいめい)期とあって、自宅に帰れないことも珍しくない激務だった。そんなときに会社から4年間の在籍を条件に6億円相当のストックオプション(新株予約権)が提示された。

お金より自由、ママ友支援へ

 迷いながらも「貴重な20代の4年間。6億円で売れない」と決断し、スペインに渡ってフリーライターに。「お金よりも自由でいたかったんだと思う」。

 スペインで約10年間生活した後に帰国。日本で気になったのが「ママ友」たちの表情の暗さだった。結婚や出産を機に退職したものの、まだまだ社会で活躍したいと考える女性が多いことを知り、リベルタ学舎の設立を決意した。

 平成23年の東日本大震災では被災者を支援するボランティアを企画したが、2年目に参加者が激減。「善意だけでは事業は続けられない」と痛感した。

 昨年8月、新たに事業を始めたい人を企業や行政が支援する取り組みをスタート。実現したい夢を持った人たちがプレゼンテーションできるオーディションの舞台を設けた。「企業がお金を出す企画は、社会の需要がある証拠」と強調する。

6億円以上の価値を得る

 新しいチャレンジを続ける彼女に「6億円をもったいなく思うことはないか」と聞いてみた。

 「もし受け取っていたら、何も手放せないままだった。いまはそれ以上の価値を得ている」

     ◇

 【略歴】湯川カナ(ゆかわ・かな) 昭和48年、長崎市生まれ。早稲田大在学中に「ヤフー!ジャパン」の立ち上げに参加。平成11年にスペインに移住し、日常生活でのルポ記事などを日本の女性誌などに寄稿した。21年に帰国後、活動拠点に神戸を選んだのは「当時マドリードに住んでいて、海も山もあるバルセロナにあこがれていたから」。

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