2018年6月15日金曜日

衝撃音報告せず走行 JR西が謝罪

山陽新幹線の事故について、記者会見の冒頭に頭を下げるJR西日本の平野賀久副社長(奥)と折中啓也新幹線運輸部長=大阪市北区で2018年6月15日午後4時1分、小出洋平撮影

 北九州市内で14日発生した博多発東京行き新幹線「のぞみ176号」の人身事故で、JR西日本の平野賀久(よしひさ)副社長は15日、大阪市の本社で記者会見し、50代運転士が博多-小倉間で衝撃音に気付きながら、マニュアルに反して東京の新幹線総合指令所に報告を怠っていたことを明らかにし、謝罪した。小倉駅の30代駅員も、先頭車両の連結器カバーにひびや血のりが付いていたことを認識しながら停車させなかったことも判明した。

 会見の冒頭、平野副社長は「多大なる輸送障害を発生させ4万人を超える多くのお客様にご迷惑をおかけした。深くおわび申し上げる」と陳謝。さらに「運転士はマニュアルを失念か誤解していた。駅員も直ちに指令所に伝えていれば早い段階で次の行動を引き出せた」と述べた。同社のマニュアルによると、異音を感知した場合は程度にかかわらず、指令所に連絡しなければならないが、運転士は報告を怠った。衝撃音を聞いた時は前面のモニター装置を見ていたという。

 一方、小倉駅の駅員はホーム中央付近でのぞみが入ってくるのを確認。同社の聞き取りに対し、「先頭車両に血のりがあり、鳥と衝突した跡だと思った。少しひびが入っているように見えた」と説明、運転に支障はないと考えたという。結局、駅員はのぞみが発車した後に指令所に連絡した。

 同社によると、事故が発生したのは、北九州市八幡西区の石坂トンネルから西に約600メートル離れた高架橋。点検用の足場を上り、線路内に侵入した形跡があるという。福岡県警によると、遺体の身元は同県直方市の介護士男性(52)で自殺の可能性が高いとみている。

 先頭車両の破損した連結器のカバーは、炭素繊維強化プラスチックで、縦70センチ、横35センチ、奥行き45センチにわたって損傷。カバーは約20キロあるが、落下したのは約3.5キロ分で、後続車両が粉砕したとみられ、脱線の危険性はないという。

 新幹線のぞみを巡っては、昨年12月に台車亀裂が見つかる重大インシデントが発生し、同社は安全対策に力を入れてきたが、平野副社長は「まだ目指しているレベルに達していない。迷った時には直ちに停車することを定着させたい」と述べ、運転士については異音の感知を学べるシミュレーターを使った訓練を導入し、駅員については列車が近付いてきた際の視線移動を学べるカメラを使った訓練を導入する方針を示した。【山下貴史、比嘉洋】

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