2018年6月18日月曜日

ユニコーン企業が育つ土壌を

 フリーマーケットアプリを展開するメルカリ(東京・港)が東証マザーズ市場に19日、株式を上場する。上場の前から高い評価を得るスタートアップ企業は「ユニコーン」と呼ばれ、同社はその代表格。こうした企業が次々生まれ、大きく育つ土壌を整えたい。

 メルカリはスマートフォンで手軽に手持ちの品物を売り買いできるアプリが人気だ。それを土台にして各種サービスを広げるプラットフォーム戦略で成長を目指している。すでに米国にも進出し世界の顧客を狙うと宣言している。

 10億ドル(1100億円)以上の企業価値が見込まれる未上場の新興企業は、伝説の一角獣になぞらえユニコーンと呼ばれる。メルカリの株式時価総額は4000億円規模とされる。問題は、後に続く候補が日本に少ないことだ。

 米国のユニコーン企業は100社を超え、中国も60社以上あるといわれる。米ライドシェア大手、ウーバーテクノロジーズの推定価値は7兆円と大型だ。日本は企業の数、規模ともに見劣りする。

 デジタル経済は世界を相手に技術革新のスピードを競う。1つ成功しても、新サービスや機能を開発し続けなければ勝ち抜けない。独自に市場を切り開き、かつスピード感ある経営で、世界でプラットフォームをつかむ競争に挑む企業がもっと出てきてほしい。

 成長企業に人材が集う流れを太くする必要がある。デジタルに強い人材の育成はもちろん、従来型産業からの再配置を促す、雇用の流動性を高める施策が重要だ。既存の法規制が邪魔にならないよう一時的に停止する「サンドボックス」もうまく活用すべきだ。

 資金面のパイプも大切だ。米欧では年金などの長期資金がベンチャー企業に投資するが、日本ではこの流れが細い。富を得た起業家が投資家の顔も持ち、次の企業を育てるエンジェル役を果たす機運も求められる。有望企業が次々成長して日本の資本市場全体が活性化すれば、家計にも恩恵が広がる好循環につながるはずだ。

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Read Again https://www.nikkei.com/article/DGXKZO31881600X10C18A6PE8000/

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