2018年6月13日水曜日

「他の男性も応援に」新幹線殺傷事件の乗客の対応めぐりネットで議論に

神奈川県内の東海道新幹線車内で起きた殺傷事件で、「他の男性客は被害者をなぜ助けに行かなかったのか」などとツイッター上で疑問の声が出て、議論になっている。

一方で、助けに行けば犠牲者が増えた可能性もある、などと反発の声が次々に上がり、ツイートが炎上、削除される騒ぎにもなっている。

止めに入った男性1人が死亡

この事件では、小島一朗容疑者(22)が座席の両隣の女性にナタやナイフで切り付け、後ろの座席にいて止めに入った梅田耕太郎さん(38)が首などを切られて失血死している。

周囲にいた乗客は、慌てて別の車両に逃げ込んだなどと報じられているが、ツイッター上では、他の男性客もいたはずなのになぜ助けなかったのか、といった趣旨のツイートを中心に疑問の声が相次いだ。

梅田さんの勇気を讃え、追悼の意を示すと同時に、「他の男性陣もすぐさま応援駆けつけして欲しかった」などというのだ。「勇気ある人を守らないで、他の男性が逃げる世の中が恨めしい」「他の誰かが、一緒に立ち向かえば、あそこまでの惨事にならなかった」といった声が続々寄せられている。

アメリカなどだったら、複数の男性たちが立ち向かって犯行を食い止めていたはずだとの指摘もあった。

これに対し、ネット掲示板などで、こうしたツイートに疑問や批判が相次ぎ、炎上してツイートが削除に追い込まれるケースも出てきている。

専門家「どんな行動が最善かは分からない」

疑問や批判としては、「なた振り回してるのに立ち向かうのは、死ぬ気で行かないと無理」「男数人で押さえに行けば止まっただろうけど死体は無駄に増えてただろう」「そりゃ逃げるよ オレの家族は誰が守ってくれるんだ?」といった声が上がった。

また、新幹線の車両内は狭い通路になっていることから、「どんなに大勢いようが対峙する時は一対一」だとの指摘もあった。

他にも「男の命は軽いって言いたいのか」「なんで女性は助けに行かなかったの?」「すげぇ男性差別」といった反発も出ていた。

一方で、「こういう事言いたくなる気持ちは分かる」「目の前で襲われてる状況なら俺は助けたい」「この事件で自分だったらどうするか考えさせられた」との書き込みもあった。

新潟青陵大学の碓井真史教授(社会心理学)は、ヤフー・ニュース(個人)への6月11日の投稿で、梅田さんの勇気ある行動で被害者を最小限に留めたと讃えながらも、「あのとき、どんな行動が最善だったのかは分かりません」と指摘した。

そのうえで、「みんなで力を合わせ、だれも亡くなることなく犯行を止めることができていれば、一番良かったでしょう。けれども、ドラマのように上手くはいきません。冷静で安全な立場にいる人が、緊急事態に直面した人を安易に責める事はできません」と指摘している。

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