[東京 13日 ロイター] - 金融庁は13日、コンコルディア・フィナンシャルグループ(7186.T)傘下の東日本銀行に対し、銀行法に基づく業務改善命令を出したと正式発表した。立ち入り検査の結果、融資に当たって金利以外に根拠が不明確な手数料を取るなど不適切な行為が判明。融資の審査態勢も不十分だった。金融庁は、同行のガバナンスが機能不全に陥っているとみて、経営責任の明確化や内部管理体制の改善を求めた。
金融庁は、1)経営責任の明確化、2)法令等順守態勢や顧客本位の業務運営態勢の確立と全行的な意識の向上、3)営業店や本部関係部署における相互けん制機能の確立、4)内部監査態勢の確立――について、8月13日までに報告書を提出するよう命じた。
金融庁の立ち入り検査で、東日本銀の83カ店中69支店で、融資する際に対価となるサービス内容が不明だったり、算定根拠が不透明な融資実行手数料を取っていたことが明らかになった。さらに、必要額以上に融資してその一部を定期預金に回させる「歩積み・両建て」も行われていた。金融庁は、東日本銀が顧客に対して不当な負担を強いていたにもかかわらず、監査部のチェックが形式的でこうした不正を見抜けなかったとしている。
東日本銀によると、不適切な融資実行手数料は計997件あり、4億6000万円の収入を得ていた。本部も了承済みで、顧客の同意が得られる限り、実行しても問題ないとの認識だったという。
このほかにも、地方公共団体の制度融資の対象先企業から、本来取るべきではない手数料を得ているケースも計324件、2500万円見つかった。
さらに、特定の副支店長が、営業成績を上げるために融資先に実態のない営業所の登記を行わせ、支店長の専決権限を行使させるといった不適切な融資を多数実行し、7億円の損失を発生させていた。支店長は融資先の営業実態や資金使途を十分に確認せず、融資実行を決裁していた。
金融庁は、東日本銀の経営陣が新規取引獲得を重視し過ぎるあまり、目先の収益を優先し、内部管理体制を敷いてこなかったと判断。行政処分に踏み切った。
会見した東日本銀行の酒井隆常務は「営業に人員を割いたため、内部管理の陣容が不備だった」と説明。持ち株会社のコンコルディア・フィナンシャルグループ(7186.T)の神沢健治郎常務は「持ち株会社として(不適切事案を)知り得なかったのは事実であり、業務改善計画を策定する中で監督責任も含めて検討する」と語った。
*内容を追加しました。
和田崇彦、布施太郎
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