大都市圏でオフィス需要が地価をけん引している。国税庁が2日発表した2018年1月1日時点の路線価は、東京や京都などが大幅に上昇。好調な企業業績を背景にオフィスの移転・拡張の需要が高く、国内外の投資家による資金投下も続く。一方、同じ県内で中心部や訪日客増の恩恵を受ける地域と、それ以外で、地価の二極化が鮮明になっている。
全国平均は前年比0.7%増で、3年連続の上昇。路線価が上昇した都道府県は前年の13から18に増えた。都道府県庁所在地ごとに最高路線価の地点を比較すると、33都市で上昇。13都市が横ばいで、下落したのは、商業施設撤退の影響を受けた水戸市だけだった。
三宮センター街(神戸、前年比22.5%増)を筆頭に、四条通(京都、同21.2%増)や名駅通り(名古屋、同13.6%増)など大都市圏の上昇が際立っている。日本一は東京・銀座の「鳩居堂」前で、バブル期を超えて2年連続で過去最高を更新した。
背景に好調な企業業績があり、働き方改革を意識して快適なオフィスづくりなども弾みをつける。顕著なのが東京だ。
オフィス仲介大手の三鬼商事(東京・中央)によると都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の5月の平均募集賃料は3.3平方メートルあたり2万19円。53カ月連続の上昇で、09年7月以来、初の2万円台だ。空室率は2.68%で、需給均衡の目安である5%を大きく下回っている。企業が転居した後の空室も、残った企業の増床ですぐに埋まる場合が多い。
再開発で新たに供給されるオフィスビルも空室率が低い。三井不動産と三菱地所が東京都港区に5月に建てた「msb Tamachi 田町ステーションタワーS」(地上31階建て)はすでに満室。三菱自動車やユニー・ファミリーマートホールディングス(HD)などが本社を移す。
一方で地域内で二極化が進行している。同じ県内でも、訪日客増が中心地や観光地に効果をもたらす一方、観光資源が乏しく過疎化が進む地域は地価下落が止まらない。
都道府県別の地価の平均値をみると、29県が前年比で下落。兵庫県は最高路線価が全国最高の伸び率だったが、県平均は0.4%のマイナスだ。
石川県内の最高路線価は7.8%増の金沢駅東広場通り。北陸新幹線開業以降、訪日客増がJR金沢駅周辺の地価に好影響を与えている。一方、県全体はマイナスに転落した。観光資源の多い奈良県も最高路線価は5.4%増だが、県全体では0.6%減だった。三井住友トラスト基礎研究所の北村邦夫研究理事は「東京や大阪など大都市でも地域によって地価が二極化する傾向にある。過疎化が進む地方では、さらに顕著だ」と分析する。
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