2017年9月21日木曜日

FOMC:保有証券縮小、10月開始-年内と来年の利上げ予測維持

米連邦公開市場委員会(FOMC)は19、20両日の定例会合で、4兆5000億ドル規模の保有証券の縮小を10月に開始することを決定した。ハリケーンの経済への悪影響は一時的なものになるとの見方を示し、年内あと1回、来年3回の利上げ予測を維持した。フェデラルファンド(FF)金利誘導目標については1-1.25%のレンジで据え置いた。

  声明は「ハリケーン『ハービー』、『イルマ』、『マリア』は多くの地域に大きな打撃を与え、厳しい苦難をもたらした。ハリケーンに関連した混乱や再建は短期的に経済活動に影響を与えるが、過去の経験から判断すると、これらハリケーンが中期的に米経済の軌道を大きく変える可能性は低いことが示唆される」と記述した。

  連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は記者会見で、「健全な労働市場を維持し、インフレを当局の長期的な目標である2%前後で安定させるため、力強い景気の継続が緩やかな利上を正当化すると、われわれは引き続き予想している」と発言した。今年のインフレがアンダーシュートしていることについては「不可解」と表現した。

  米金融当局者は底堅い成長と低い失業率がインフレ率を当局の目標近くまで押し上げると予想しており、それが利上げと量的緩和の縮小という緩やかな引き締め政策を支持するとみている。

  パンセオン・マクロエコノミクスのチーフエコノミスト、イアン・シェファードソン氏は電子メールで、「ハリケーンの影響が弱まったとき、経済はハリケーン襲来前と同じぐらい力強くなるだろう。そのため金融政策の緩やかな正常化を続ける必要がある」と指摘した。

  今回の政策発表は議長1期目の最終年にあるイエレン議長にとって、3つ目の大きな政策となる。議長は大規模な資産購入の終了と事実上のゼロ金利政策の解除を指揮し、これからは異例なほどに拡大しているバランスシートの縮小に取り組む。今のところ、この政策転換は金融市場や経済に混乱をきたしていない。

  金融当局はハリケーンがガソリンなどの価格を押し上げるため、一時的なインフレ要因になるとした上で、「その押し上げ効果を除けば、前年比ベースでのインフレ率は短期的に2% をやや下回る水準にとどまると予想されるが、中期的には委員会の目標である2%程度で安定すると見込んでいる」と指摘した。

  今年上半期の成長率は年率2.1%と、現在の景気拡大期の平均並みとなり、10年債利回りは2.24%前後と、年初の2.45%から低下している。FOMCがインフレ目標の基準とする個人消費支出(PCE)価格指数は7月に前年比1.4%上昇した。

  声明は「今年これまで労働市場は引き続き力強さを増し、経済活動は緩やかに拡大したことが示唆された」と記述。前回声明にもあった「経済見通しへの短期的なリスクはおおよそ均衡しているように見受けられる」との文言を維持した。
  
  FF金利誘導目標の据え置きと10月にバランスシート縮小を始めるとの決定は全会一致だった。利上げについては「緩やかな」ペースで実施される可能性が高いとの認識を示したが、今回示したFOMC参加者の予測に基づく政策金利の予想軌道は前回ほど急勾配ではなかった。

  同参加者が今回新たに示した金利予測「ドット・プロット」の中央値によれば、2018年は0.25ポイントの利上げを3回見込んでおり、前回6月に示した予測に基づく利上げ回数と同じだった。

  世界的な金融危機からリセッション(景気後退)入りした2007年12月以来、約10年の時を経てバランスシート縮小の決定がなされた。ただ、縮小規模は当初、月100億ドルと、小幅なものになる。

  FOMCは6月に公表した「政策正常化の原則と計画」の追加文書に記されたようにバランスシート正常化プログラムを開始すると表明した。それによると、再投資を見送る額は当初、米国債が1カ月当たり60億ドル、住宅ローン担保証券(MBS)は同40億ドルに上限が設定される。その後3カ月ごとに上限を引き上げ、米国債は月300億ドル、MBSは月200億ドルに達するまで継続される。

  四半期予測によれば、年内あと1回の利上げを予測する当局者は11人で、6月の予測から3人増えた。年内の金利据え置きを予想している当局者は4人と、6月の予測から変わらなかった。年内2回の利上げを予想する当局者は1人で、前回の4人から減少した。

  労働リソースの最大化に相当する失業率の長期予測は4.6%と、前回から変わらず。一方、2018年と19年の失業率予想はいずれも4.1%に低下した。

原題:Fed to Shrink Assets Next Month, Boost Rates by Year End (2)(抜粋)

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