2017年9月23日土曜日

商工中金、不正融資巡る調査延長発表 「危機対応」以外も疑惑

 商工組合中央金庫(商工中金)は22日、政府の危機対応制度を巡る不正融資問題について、内部調査の完了時期を1カ月あまり延期すると発表した。調査の不備などで混乱が生じ、9月中に終了のメドが立たなくなった。すでに全支店の約9割で不正への関与が発覚し、危機対応以外でも不正の疑いのある案件が見つかった。常態化していた不正の構造が次第に明らかになってきた。

 この日は記者会見を見送り、発表文のみ。想定以上に内部調査が難航し詳細を明かせなかった。内部調査では不正行為に関わった職員が300人規模に上り、支店の数は国内100支店のうち約90店に及んだ。財務諸表の試算表を改ざんし、制度融資の対象に見せかける手口が中心だ。

 弁護士などの第三者委員会が点検したところ、内部調査の担当者の中にも不正に関与した職員が見つかり、やり直しや再調査が必要な案件が見つかった。

 問題化しそうなのが危機対応融資以外の業務で不正が疑われる案件だ。例えば企業のサポート業務。補助金の申請や経営力向上計画の作成などで取引先に代わって国への申請事務を請け負うサービスだ。取引先の意向に沿う計画書を作ったり、他の取引銀行が作った計画をあたかも商工中金がまとめたように社内で報告し、自分たちの実績としてカウントするなどしていた。

 税金の無駄遣いをチェックする会計検査院の検査を商工中金がすり抜けられるよう、報告する資料をすり替えるといった不適切な例も見つけた。

 業績を上げるため上司から指示や圧力があったのかなど、組織全体に不正が横行する動機の解明も道半ば。商工中金は追加調査を始めるものの、22日の発表では全取引を調査するかどうかは明らかにしなかった。

 徹底調査すれば1カ月の延期で済まなくなる可能性がある。政府関係者は「判明したところについて調査している」と明かし、全件調査には消極的な姿勢をのぞかせた。今後、悪質性が確認されれば国会でも商工中金への厳しい対応を求める声が強まる可能性がある。

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