[東京 7日 ロイター] - ソフトバンクグループ(SBG)(9984.T)は7日、通信子会社ソフトバンク(SB)の株式上場準備を開始すると正式発表した。SBGは投資会社としての位置付けをより明確にするとともに、SBは経営の独立性を高めることで成長に向けた意思決定を機動的に行えるようにする。
会見したSBGの孫正義社長は、上場により「安定的な通信の収益に加えて、さらなる成長モデルを付加していきたい」と語った。
SBは上場後もSBGの連結子会社を維持する。上場時期については「できれば1年以内には行いたい」と語った。調達資金は「財務バランスの強化とグループのさらなる成長のために使う」としたが、調達額については「ノーコメント」と言及を避けた。
SBGは発表資料で、上場について「グローバルな規模で投資を進めるSBGと、国内通信の中核企業であるSBの役割と価値を明確に分けることになる」と指摘。その結果、「より分かりやすくグループの事業内容を市場に訴求することが可能となり、多様な投資家ニーズへも対応できるようになる」と意義を説明した。
ただ、SBが上場すれば、SBGが得ていた配当収入が一部外部に流出し、長い目で見ればSBGの信用力に響いてくる可能性がある。
これについて孫社長は「一部配当で資金が流出しても、上場時にわれわれにかなりの額の資金が入り、それはすぐに使える。そのメリットと毎年少しずつ外部に流出するバランスだ」と語った。
上場で一般株主が入ることに関しては「一般株主にも配当が入ってくるので、一般株主とソフトバンクグループは利害が反することなしにやっていける」と自信を示した。
上場先や申請時期は決定次第、あらためて開示する。上場準備にあたっては「SBGの信用力やキャッシュフローへの影響を考慮して慎重にグループの組織構成と資本構成を検討し、財務の健全性にも配慮しながらグループ全体の成長を目指す」とし、検討の結果次第では「SBは上場しないという結論に至る可能性もある」としている。
<自動車はひとつの部品にすぎない>
ソフトバンクグループが同日発表した2017年4─12月期決算(国際会計基準)は、営業利益が前年比23.6%増の1兆1488億円だった。ビジョン・ファンドの評価益に加え、米携帯電話子会社スプリント(S.N)の改善も利益を押し上げた。
ビジョン・ファンドのセグメント利益は2364億円。エヌビディア(NVDA.O)の株価上昇が貢献した。
売上高は前年比3.5%増の6兆8112億円だった。最終利益は中国の電子商取引大手アリババ・グループ・ホールディング(BABA.N)株式の資金化に係るデリバティブ損失はあったものの、前年比20.0%増の1兆0149億円を確保した。米税制改正が利益を大きく押し上げた。
同社は通期予想を開示していない。トムソン・ロイターがまとめたアナリスト23人の営業利益予想の平均値は1兆2640億円で、実績の進ちょく率は90%に達している。
SBGは米配車大手ウーバー・テクノロジーズUBER.ULをはじめ、複数の配車サービスに出資している。これについて孫社長は「世界の最大の交通機関をわれわれグループで持ったことに匹敵する」と説明。「交通機関という観点で言うと、自動車はひとつの部品に過ぎない。むしろプラットフォームのほうがより大きな価値を持つ」と事業の先行きに自信を示した。
配車サービス再編の可能性については「彼らが自ら判断することだ。われわれが何かを強制するということは一切したくない」と語った。
同社が出資する配車サービスは、一部地域で出資先が競合状態にある。
*内容を追加しました。
志田義寧
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