ソフトバンクグループ(SBG)は7日、携帯事業を手掛ける子会社「ソフトバンク」を上場させる準備を始めると発表した。グローバルな企業に投資するSBGと、国内通信を手掛ける事業会社との違いを明確にする。資金調達の選択肢を広げて財務基盤を強化し、負債の拡大に歯止めをかける狙いもある。調達資金は新たな成長企業への投資に振り向ける。
孫正義会長兼社長は7日の記者会見で上場時期について明言を避けたが、「できれば1年以内に行いたい」と述べた。
上場の目的は役割分担の明確化だ。SBGは2017年にサウジアラビアなどと運用額10兆円規模の「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」を立ち上げるなど、ここ数年で投資会社としての側面が強まった。主力事業の携帯事業会社を上場させることで自律性を持たせ、親会社のSBGは投資に専念する。孫氏は「SBGは世界の戦略持ち株会社になり、日本の携帯事業会社を自律的に成長させたい」と語った。
孫社長は具体的な調達金額には触れなかったが、2兆円を見込む調達資金の使途について「財務バランスの強化とグループのさらなる成長のために使う」と説明した。現在の資金調達の方法は主に社債や借り入れで有利子負債は14兆円にのぼる。株式市場から直接調達したり配当収入を安定的に得られれば、資金確保の幅が広がる。
SBGはビジョン・ファンドのほか、米携帯大手のスプリント、英半導体設計のアーム・ホールディングスなど世界の企業を傘下に持つ。ソフトバンクの上場が実現すれば、スプリントなどと同列の中核企業として位置づけが明確になる。SBGは傘下企業から吸い上げた資金で、世界の成長企業に投資する。孫社長はこうした戦略について「300年成長し続ける組織体を作るための答え」と述べた。
ビジョン・ファンドは、人工知能(AI)やあらゆるものがネットでつながるIoT関連の企業を中心に投資している。こうした出資先企業が日本で事業展開する際に「携帯事業会社はジョイントベンチャー(JV)の共同出資パートナーとなる」という。日本の携帯市場は格安スマホの台頭などで競争が激化している。ファンドの投資先企業とJVを設立すれば、他の携帯事業会社と差別化できると見ている。
携帯事業会社は1月、格安スマホのLINEモバイルとの資本提携を発表した。ソフトバンク、格安サブブランドのワイモバイル、格安スマホの「3本の矢」で、消費者の選択肢を広げる。ワイモバイルと格安スマホで顧客の奪い合いになる可能性もあるが、孫氏は「(7千万人のユーザーを持つ)LINEとのパートナーシップに期待しており、そこに付加価値が出る」と述べた。
ソフトバンクは上場について、「株式上場の準備過程における検討結果次第では、上場しないという結論に至る可能性もある」としている。
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