ユニー・ファミリーマートホールディングスとドンキホーテホールディングスが協業して開発した「MEGAドン・キホーテUNY大口店」(神奈川県横浜市)の店舗が、2月21日に公開された。23日からオープンする。
ユニーが運営する総合スーパー「アピタ」と「ピアゴ」に「MEGA ドン・キホーテ」のノウハウを取り入れて業態転換することが決まっている。今回が1号店となる。2018年3月下旬までに5店舗を同様にリニューアルする。主要顧客をドンキが得意とするニューファミリー層に転換し、品ぞろえや陳列方法を大きく変えた。
プレスリリースには両社の強みを存分に生かすとの記述があるが、実際の店舗は「ドンキ色」に染められていた。
店内に足を踏み入れてすぐ目に飛び込んでくるのはドンキが得意とする「驚安(きょうやす)」コーナー。うず高く積まれた食品や日用品が並ぶ。「激安」に代わるドンキ独自の用語で、単に安いだけではなくお客に驚きや楽しさを与える価格設定のことを指す。
店内にはドンキ独自の派手なPOPとマスコットキャラクターの「ドンペン」が溢れている。商品の陳列方法もドンキ流が貫かれる。「スーパーがドンキになった」と勘違いする利用客は多いだろう。
品ぞろえもドンキが得意とする商品が拡充されている。お菓子・お酒は旧店舗の約2倍、日用品・化粧品は約3倍だ。そのほか、持ち帰り家電、バラエティグッズ、香水、輸入品などが並ぶ。
同店で働く従業員の多くはユニー出身者が占めるが、イニシアチブをとるのはドンキ出身者だ。担当者は「立ち上げ責任者はほぼドンキ(の社員)。オープン後の総責任者も総店長(ドンキ出身者)」と説明する。
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総合スーパーが提供できない「楽しさ」
今回のリニューアルの背景についてユニーの佐古則男社長は「ドラッグストアやコンビニといった競合が登場することで価格・利便性競争が激しくなった。競争環境は厳しさを増している」と説明する。そして、今後のマーケットで重要になるキーワードとして「ショッピングの楽しさ」を挙げた。
今後、リアルの店舗が生き残るには「楽しさ」を提供しなければいけない。しかし、総合スーパーを展開してきた同社にそのノウハウはない。だからドンキに頼らざるを得ないというわけだ。
もちろん今回の店舗にユニーの強みがまったく生かされていないわけではない。ドンキからユニーに乗り込んだ関口憲司取締役常務執行役員は「商品の仕入れや目利きはユニーが優れている。これはドンキの生鮮チームに足りないところだ。いいものを安く仕入れるノウハウはユニーに一日の長がある」と説明する。
今後の鍵は従業員の融和策
ドンキの価格戦略や売り場づくりのノウハウは大きな競争力を持つ。しかし、新業態店舗が成功するかどうかはドンキとユニーの協力体制にかかってくるだろう。
新店舗で働く社員は26名。そのうち11名がドンキからの出向者だ。パート・アルバイト180名のうち既存店から継続して働くのは140名。数ではユニー出身者が多いが、運営方法はドンキ流だ。関口執行役員が「ドン・キホーテが捨てられない『権限移譲』や『成果主義』をどれだけ意識として共有できるかが重要だ。一緒に働きながら店舗で意識を統一したい」と語るように、店舗運営を円滑に行って質の高いサービスを提供するには有効な融和策が欠かせない。3月下旬までにオープンする残り5店舗の動向が注目される。
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