仏自動車大手ルノーは15日の取締役会で、カルロス・ゴーン最高経営責任者(CEO)(63)の再任を決めた。任期は4年で、6月の株主総会を経て正式決定する。一時は退任観測も浮上していたが、再任で日産自動車、三菱自動車との連携戦略を加速する。これまで通りの態勢で安定的に企業連合の深化を進められる一方、ゴーン氏のリーダーシップに依存する状況が続くことになる。
ルノー取締役会はゴーン氏に対し、グループ戦略の指揮監督を優先事項として求めた。同社は最高執行責任者(COO)職を新たに設け、ティエリー・ボロレ最高競争責任者が19日付で就任する。ゴーン氏の有力な後任候補だ。
退任観測の発端は、1月の仏下院の公聴会で、ゴーン氏がルノーCEOのほか、日産と三菱自両社の会長を務める自身への権限集中に関し、「長続きしない」と述べたことだ。ゴーン氏は企業連合のCEOに専念したかったようだが、直ちにルノーのトップを退くことは困難で、筆頭株主である仏政府の意向もあり、再任が決まった。仏メディアによると、ゴーン氏は続投に当たり、自身の報酬の3割削減に応じたという。
日産とルノーの提携は1999年から続く。独ダイムラーと米クライスラーの世紀の合併が失敗したように、自動車業界で国境を越えた企業連合の運営は難しいが、ゴーン氏は成果を出してきた。2014年には「研究・開発」「生産技術・物流」など4部門で日産とルノーの機能を統合した。
三菱自を加えた3社連合の17年の世界販売台数は1060万台とトヨタ自動車を抜き、独フォルクスワーゲン(VW)に次いで2位。「ゴーン氏が引き続きにらみをきかせることで、企業連合の深化を加速させる」(日産関係者)ことになりそうだ。
課題は、新車の無資格検査問題や米国事業の収益悪化で業績不振の日産の立て直しだ。また将来、ゴーン氏が企業連合を離れても持続できる後継者の育成や態勢整備も求められる。(高橋寛次)
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