仮想通貨取引所大手「コインチェック」から580億円相当の仮想通貨「NEM(ネム)」が流出した問題で、ネムが流出先の口座から9口座に送金されたうえ、うち1口座と別の口座の間で11億円相当を往復させていたことが分かった。無関係とみられる複数の利用者にネムが送りつけられていたことも判明。専門家によると、資金の移動が追跡されていないか確認した可能性もある。警視庁は不正アクセス禁止法違反容疑で捜査しており、ネムの流れを追跡している。【岡大介、宮川裕章】
ネムの取引記録はインターネット上で公開されている。口座の持ち主は特定できない。記録によると、コインチェックからネムが最初に引き出されたのは26日午前0時2分。まず1100円相当の引き出しに成功すると、次は矢継ぎ早に110億円ずつ引き出し、同21分には顧客から預かったネムの大半が流出した。その後、流出したネムの大半は9口座に移された。
また、9口座の一つから別の口座に11億円相当を移しながら、10分程度で全額を元に戻した形跡も確認された。慶応大SFC研究所の斉藤賢爾上席所員は、「資金が追跡されていないかなど、警戒態勢を見極めようとしたのではないか」と言う。
その後は沈黙していた犯人側が動き出したのは30日午後10時33分。無関係とみられる利用者の9口座に1万1000円相当のネムを延べ11回送りつけた。流出発覚後、犯人側の口座には「コインチェックに返して」などとメッセージを送る利用者がおり、それに返信した形だ。
犯人側の口座はボランティアによって送金先を追跡されている。近畿大学の山崎重一郎教授(情報科学)は、「ネムを受け取った相手も追跡対象になってしまう。監視対象を増やして追跡をかく乱する狙いがあるかもしれない」とみる。
今後の展開について、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの廉了(かどさとる)主席研究員は「犯人側は、世の中の関心が薄れ、警戒態勢が緩むのを待ち、ネムを多数のアドレスに分散させ、少額ずつ長時間かけて換金する可能性もある」と指摘する。ただ、不可解な動きの狙いは見極めにくく「愉快犯ではないか」(研究者)との見方も出ている。
一方、ロイター通信によると、ネムの普及を推進する国際団体「ネム財団」は、犯人側が6カ所の仮想通貨取引所にネムを売却目的で持ち込もうとしており、財団も取引所に接触中だと明らかにした。【岡大介、宮川裕章】
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