2018年2月7日水曜日

ソフトバンク、携帯子会社上場「1年以内に」

 ソフトバンクグループ(SBG)は7日、携帯事業を手掛ける子会社「ソフトバンク」を上場させる準備を始めると正式に発表した。グローバルな成長企業に投資するSBGと、国内通信を手掛けるソフトバンクとの違いを明確にする。東京証券取引所第1部への上場を目指して調整している。上場すれば、グループ全体の資金調達を多様化させることも可能になる。

都内で記者会見するソフトバンクグループの孫社長

都内で記者会見するソフトバンクグループの孫社長

 7日に都内で記者会見した孫正義会長兼社長は上場について「SBGは世界の戦略持ち株会社になり、日本の携帯事業会社は自律的な成長に持って行きたい」と語った。上場時期については明言を避けたが、「できれば1年以内に行いたい」と述べた。

 最大の目的は役割分担の明確化だ。SBGはここ数年で、世界の成長企業を発掘する投資会社として存在感を高めてきた。2017年にはサウジアラビアなどと運用額10兆円規模の「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」を立ち上げた。一方、主力事業である携帯事業会社を上場させ経営での自立性を高めれば、迅速な判断も可能になる。

 調達額は2兆円規模。孫社長は金額には触れなかったが、調達資金の使途について「財務バランスの強化とグループのさらなる成長のために使う」と述べた。現在は社債や借り入れに頼っているが、株式市場からの調達まで選択肢が広がる。さらに「配当政策を重視していきたい」とも表明。子会社から吸い上げる資金を、人工知能(AI)やスマートロボットなど新たな分野への投資に振り向ける。

 ビジョン・ファンドは、AIやあらゆるものがネットでつながるIoTに関する企業を中心に投資している。携帯事業会社は、ファンドが世界で投資する企業が日本で事業を展開する際の「受け皿となる」といい、他の携帯事業会社と差別化を図ろうとしている。

 SBGは米携帯大手のスプリント、ビジョン・ファンド、英半導体設計のアーム・ホールディングスなど世界の企業を傘下に持つ。ソフトバンクの上場が実現すれば、スプリントなどと同列でSBGの中核企業としての立場を明確にすることになる。

 「300年、長い期間成長し続ける企業体にどうどうやってもっていくか」。孫氏は現在自らが抱く最大の関心事を問われるとこう述べた。上場によってグループがさらに成長するための「構え」が整うことになる。(佐竹実)

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